次世代の系統安定化技術の開発に着手

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慣性力の低下対策などの開発で再生可能エネルギーの導入拡大を目指す

2019-06-25  新エネルギー・産業技術総合開発機構

NEDOは、発電量が変動しやすい再生可能エネルギーの導入をさらに促進するため、次世代の電力系統安定化に必要な基盤技術の開発に着手しました。

本事業では、再生可能エネルギーを大量に導入する際に懸念される慣性力の低下対策や、配電系統での電圧・潮流の最適な制御方式、電力品質を低下させない高圧連系の電力変換装置(PCS)を開発します。

これらの技術開発により、電力系統を安定化し、停電などを増やすことなく再生可能エネルギーの導入拡大を目指します。

各開発項目の位置付け

図 各開発項目の位置付け

1.概要

太陽光発電などの再生可能エネルギーが大量に導入されると、電力系統で慣性力※1の低下や、隣家への売電のような需要家側での電力取引などこれまで想定していない電気の流れが発生し、電力品質※2が低下するなど、新たな課題が懸念されます。

具体的には、電力系統で慣性力が低下すると、これまで大きな影響がなかったような、小規模の電力系統事故でも、周波数を一定に保とうとする力が弱く歯止めが効かなくなるため、大規模な停電に発展する恐れがあります。また、想定していない電気の流れが発生すると配電系統の状態を把握して制御することができず、これまでと異なる制御を強いられ、非効率な電力供給となる可能性があります。さらに、従来の高圧連系の電力変換装置(PCS)※3が増加すると、その特性により電圧フリッカ※4と呼ばれる電力品質を低下させる現象が発生する可能性が高くなります。

こうした課題は、従来の技術および法的な規制の下で解決しようとすると、電力系統の大幅な増強が必要となり、多くの費用や時間がかかります。

これらを踏まえ、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、将来の再生可能エネルギー導入を促進するため、再生可能エネルギーを大量に導入する際に懸念される、慣性力の低下対策や、配電系統における電圧・潮流の最適な制御方式、電力品質を低下させない高圧連系PCSなど、以下の次世代の系統安定化に必要な基盤技術の開発を行います。

■慣性力等の低下に対応するための基盤技術の開発

■配電系統における電圧・潮流の最適な制御方式の開発

■高圧連系PCSにおける電圧フリッカ対策のための最適な単独運転検出方式の開発

これらの技術開発により、電力系統を安定させつつ再生可能エネルギーの導入拡大を目指します。さらに、第5次エネルギー基本計画で掲げられた再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、大きな課題である系統制約を克服し、2030年までに再生可能エネルギーの比率を22~24%とする目標の達成に貢献します。

2.事業の内容
(1)事業名

再生可能エネルギーの大量導入に向けた次世代電力ネットワーク安定化技術開発

研究開発項目〔1〕-2 慣性力等の低下に対応するための基盤技術の開発

研究開発項目〔2〕-1 配電系統における電圧・潮流の最適な制御方式の開発

研究開発項目〔2〕-2 高圧連系PCSにおける電圧フリッカ対策のための最適な単独運転検出方式の開発

(2)事業期間

2019年度~2021年度

(3)採択テーマと委託・助成予定先

【注釈】
※1 慣性力
電気的な瞬時の変化に耐える力のこと。火力発電機などの発電機は、電気を発生させるために回転子を回転させて発電します。こうした発電機は、自らの回転子を一定回転に維持しようとする力である「慣性力」を持ち、電気的な瞬時の変化に耐えることができます。しかし、再生可能エネルギーなどインバーターを介して電力を供給する電源は、回転子が無く、慣性力を持ちません。そのため、再生可能エネルギーが増加し、相対的に火力発電機などの慣性力を持つ発電機が減少すると、これまで安定供給が維持できていた電力系統でも、系統事故のような瞬時の変化が発生した場合に広域的な停電に陥るリスクが高まります。
※2 電力品質
電圧や周波数などのいくつかのパラメーターを用いて表されるもの。それぞれのパラメーターで適切な数値に保つことが重要であり、例えば電圧が規定値よりも低下すると電気機器が正常に動作しないなど、電力品質の悪化により生じる影響は様々です。
※3 高圧連系の電力変換装置(PCS)
メガソーラーなどの高圧で電力系統と接続している太陽光発電所の電力変換装置(PCS:パワーコンディショナー)のことです。ソーラーパネルで発電される直流の電力を電力系統に供給することのできる交流の電力に変換する機能を持っています。
※4 電圧フリッカ
電線路の電圧が繰返し変化することで、家庭などの照明がチラつく現象です。電圧フリッカは、太陽光発電用PCSの停電を検知する機能の設定が原因の一つであり、現在の高圧連系PCSが増加すると電圧フリッカが発生する可能性が高くなります。
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO スマートコミュニティ部 担当:前野、須藤、串間、横溝 

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:中里、坂本、佐藤 

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