2019-06-18 国土地理院
国土地理院が保有する地形・地質等の膨大なデータベースと、気象庁が発表する地域の震度分布データを活用し、地震発生直後に、斜面崩壊・地すべり・液状化の発生している可能性がある場所を推計するシステムの運用を6月20日から開始し、災害初動対応に活用します。
SGDASでは、地震発生後ただちに、地震動を観測した地域における地盤災害の発生状況を推計します。この推計結果を「すぐだす」ことで、例えば南海トラフ地震のような広域での被害が予想される大規模災害において、TEC-FORCEの広域派遣による支援計画検討に活用したり、夜間に発生した地震による被害の概況を把握することができます。また、測量用航空機による被災地の空中写真撮影のコース設計等に活用します。このように、SGDASの推計結果は、地震時の初動対応を意志決定する重要な参考情報となることから、国土交通省災害対策本部会議資料等として公開する予定です。
なお、モデルによる計算結果ですので実際の状況と異なる場合もありますが、過去の震度6以上の地震における災害発生状況に対し、一定程度の整合性を有する推計結果を得ることができています。引き続き推計精度向上のための改良を重ね、より効果的な災害対応に努めます。
* スグダス(SGDAS) Seismic Ground Disaster Assessment System; 地震時地盤災害推計システム
斜面崩壊の判定の解析手法の開発にあたっては、国土技術政策総合研究所砂防研究室の研究成果等を活用するとともにアドバイスを受けている。
参考資料
地震時地盤災害推計システムの推計結果
【胆振地方中東部を震源とする地震】
2018年09月06日03時08分に発生した地震に関して、推計した斜面災害及び液状化の発生可能性 箇所を添付図のとおり報告します。
斜面災害発生の可能性がある箇所の面積 約1300㎢
液状化発生の可能性がある箇所の面積 約 960㎢
※ 具体的な範囲は次ページ以降に図示します。
(参考)過去に発生した地震における推計
発生年 地震名称 斜面災害 液 化
2011年 東北地方太平洋沖地震 9100㎢ 6500㎢
2016年 熊本地震 2700㎢ 1400㎢
2018年 北海道胆振東部地震 1300㎢ 960㎢
※本資料に関する注意点
この推計結果は広域スケールで地盤災害がどのあたりでどの程度集中して発生している可能性 があるかを示すものであり、個々の地点の発生の有無や規模をピンポイントで予測するもので はありません。
この推計結果は、震度とその場所の地形・地質の性質に基づいて推計しているものです。したがって、色が付いた範囲で必ず地盤災害が発生していることを示しているわけではありません。
推計精度は、これまでの検証では震度6強以上の地震では概ね適切な推計がされていますが、震度6弱ではやや過大に推定される傾向が見られます。
本資料は、被害推定、現地の情報収集や調査の目安としての利用を想定した情報です。
【連絡先】 国土地理院 企画部 防災推進室
問い合わせ先
○国土交通省の災害対策に関すること
水管理・国土保全局 防災課災害対策室 担当:天野
○国土地理院の防災に関すること
国土地理院 企画部防災推進室 担当:田山
○SGDASに関すること
国土地理院 地理地殻活動研究センター地理情報解析研究室 担当:大野