2019-05-30 国立天文台
今回発見した超新星の例(3枚1組の写真が一つの超新星の変化を示す)。左から順に爆発前、爆発後、超新星の様子を表す。 オリジナルサイズ(443KB)
東京大学や国立天文台などの研究者から成る研究チームは、すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)を用いて、遠方にある超新星58個をはじめ、約1800個もの超新星を発見しました。半年間という短期間の観測でこれほど多数の超新星を発見できたことは、大口径のすばる望遠鏡の集光力と、HSCの高解像度で広視野という特長を合わせた強みが存分に生かされた成果です。
超新星は、恒星全体が爆発し明るく輝く現象で、遠方のものでも観測可能です。特に、Ia型超新星と呼ばれるタイプの超新星は、天体の距離測定に使うことができるため、宇宙の膨張の歴史をひも解く上で重視されています。
研究チームは、すばる望遠鏡に搭載された高解像度で非常に観測領域の広いカメラHSCを重点的に使うことで、半年という短い期間に約1800個もの超新星を発見しました。このうち、距離が80億光年を超えるような遠方のIa型超新星は、58個もありました。これほど遠方のIa型超新星の発見は、10年以上かけて50個弱というハッブル宇宙望遠鏡の例がありますが、今回はそれを超える数をわずか半年間で見つけたことになります。
研究チームは今後、新たに発見したこれら遠方のIa型超新星のデータを使って、より正確な宇宙の膨張の歴史を研究し、その加速の原因となっているダークエネルギーが、時間とともにどのように変化しているかを調べていく予定です。
この研究成果は、『日本天文学会欧文研究報告(Publications of the Astronomical Society of Japan)』オンライン版に2019年5月30日付で掲載されました(Yasuda et al. 2019, “The Hyper Suprime-Cam SSP Transient Survey in COSMOS: Overview”)。