オーキシンデグロン(AID)法のためのCRISPR/Cas9を利用した新規タグ導入と分解阻害剤の開発

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2019-05-15 国立遺伝学研究所

Generation of conditional auxin-inducible degron (AID) cells and tight control of degron-fused proteins using the degradation inhibitor auxinole

Aisha Yesbolatova, Toyoaki Natsume, Ken-ichiro Hayashi, Masato T. Kanemaki

Methods Available online 24 April 2019 DOI:10.1016/j.ymeth.2019.04.010

当研究室は植物ホルモンオーキシンによる分解経路を非植物細胞に移植することにより、オーキシンデグロン(auxin-inducible degron:AID)法を開発しました。ヒト細胞においては、植物由来のデグロン(mAID)を付加したタンパク質は、オーキシン添加に伴い、15-45分の半減期で分解されます。

私たちは以前CRISPR/Cas9を利用してHCT116細胞内の目的タンパク質C末端にタグを付加する方法を報告しました(Natsume et al. Cell Reports, 2016)。この度、総研大生Aisha Yesbolatovaを中心として、新たに目的タンパク質のN末端にタグを導入するベクターを開発し、HCT116およびDLD1細胞においてAID変異株を作成する方法の詳細なプロトコルを発表しました(図1)。

Figure1

図1:(A)新たに開発したCRISPR/Cas9を利用したN末端コード領域へのタグ付加方法。(B)C末端コード領域へのタグ付加方法。

さらに、分解阻害剤オーキシノールを開発し、これによりオーキシン非添加時におきる弱い分解を抑制できることを示しました(図2)。また、標的タンパク質分解後の再発現時にオーキシノールを添加すること、より迅速に再発現が可能になることもわかりました。

Figure1

図2:(A)天然オーキシンIAAおよびオーキシノールの構造。これら化合物が働く作用機序を示す。(B)AIDタグを付加したダイニンサブユニットDHC1はTIR1の発現により、弱い分解を受けてしまう。この分解をオーキシノールは抑制することができる。

これら一連の技術改良は、ヒト細胞におけるAID法の利用促進とタンパク質機能解析研究に大いに役立つと期待されます。本論文に示したプラスミド材料は全てaddgeneおよびRIKEN BRCより入手可能です。

本研究は岡山理科大学・林謙一郎教授との共同研究としておこなわれました。本研究は科研費(17K15068, 18H02170 ,18H04719), JST A-STEP (AS2915150U), キヤノン財団、旭硝子財団、武田科学財団にサポートされました。

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