ポイント
2018/09/14 農研機構
農研機構動物衛生研究部門は、国内で26年ぶりに岐阜県で発生した豚コレラの原因ウイルスの塩基配列解析を行い、その結果、当該ウイルスは海外から侵入した可能性が高いことがわかりました。今後、ウイルスの詳細な解析を進めていきます。
概要
豚コレラウイルスは、ウイルス遺伝子の特定の領域の遺伝子配列によって3つのグループ(Genotype)に分けられ、さらにサブグループ(Subgenotype)に細分されています。国際的な塩基配列のデータバンクに登録されている豚コレラウイルスとの照合から、2018年9月9日に岐阜県で確認された感染豚から検出されたウイルスはSubgenotype 2.1のグループに属していました。
また、①国内で使用されるワクチン株を含め、多くのワクチン株はGenotype 1のグループに属すること、②Subgenotype 2.1のグループに属するウイルスはこれまで日本で検出されていないこと、③Subgenotype 2.1に属するウイルスは、ヨーロッパやアジアで検出されていることから、当該ウイルスは海外から侵入した可能性が高いと考えられました。
今後、当該ウイルスについて、抗原性並びに感染試験を含めた病原性の詳細な解析を行っていくことにしています。
用語の解説
1)豚コレラ
豚コレラウイルスの感染による豚といのししの法定伝染病で、高い致死率と強い伝染力が特徴である。
2)遺伝子系統樹
生物の遺伝的関係を線でつなぐ形で示したもので、アミノ酸配列やDNA塩基配列をデータとして用いる。枝分かれをした樹木のような図が得られ、近縁な場合は近くの枝に示される。
参考図
問い合わせ先
研究推進責任者
農研機構動物衛生研究部門 研究部門長 小倉 弘明
研究担当者
農研機構動物衛生研究部門 海外病研究調整監 山川 睦
広報担当者
農研機構動物衛生研究部門 広報担当 吉岡 都