スマートフォンの未来を支える 周波数フィルター用の圧電薄膜の電気機械結合係数の向上とメカニズムの解明

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2021-10-08 早稲田大学,科学技術振興機構

スマートフォンの未来を支える 周波数フィルター用の圧電薄膜の電気機械結合係数の向上とメカニズムの解明

ポイント
  • スマートフォン向けフィルターの通過帯域を広くするため、大きな電気機械結合係数を持つ圧電材料の開発が盛んに行われてきた。
  • 窒化アルミニウム圧電薄膜にイッテルビウムを添加することで、電気機械結合係数が最大約1.4倍に増加することを実験で確認。
  • イッテルビウムをウルツ鉱型窒化アルミニウム中に置換する際に、ランダムに配置するのではなく、チェーン状の構造が形成される状態がエネルギー的に安定することを解明。
  • WITHコロナ社会で重要な大容量通信に向けた周波数フィルターへの応用やIoT社会に必要とされる多くのセンサー、弾性波デバイスへの応用も期待される。

早稲田大学 理工学術院 先進理工研究科の柳谷 隆彦 准教授と国際理工学センターの賈 軍軍 准教授は、スマートフォン向けの周波数フィルター(BAWフィルター)に実用化されている窒化アルミニウム(AlN)圧電薄膜材料にイッテルビウム(Yb)を添加することで、AlN圧電薄膜の電気機械結合係数が最大約1.4倍増加することを発見しました。さらに、理論計算により電気機械結合係数の向上に関するメカニズムを解明し、新規圧電材料の探索に有用な指針を示しました。

今後、広帯域のBAWフィルターに応用するなど、大容量データ通信が重要なWITHコロナ社会に貢献することが期待されます。

この研究成果は、アメリカ物理学会の学術誌「Physical Review Applied」オンライン版に、2021年10月8日付(日本時間)で掲載されます。

本研究は、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 CREST 研究領域「微小エネルギーを利用した革新的な環境発電技術の創出」における「スーパースティープトランジスタによるレクテナと圧電トランスの融合によるRFエネルギーハーベスティング技術の実用化」(No.JPMJCR20Q1、研究代表者:石橋 孝一郎 電気通信大学)、日本学術振興会 科学研究費 基盤研究C(No.20K05368)の一環として行われました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Origin of Enhanced Electromechanical Coupling in (Yb,Al)N Nitride Alloys”
DOI:10.1103/PhysRevApplied.16.044009
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
柳谷 隆彦 (ヤナギタニ タカヒコ)
早稲田大学 理工学術院 先進理工研究科 准教授

賈 軍軍 (カコ グングン)
早稲田大学 理工学術院 国際理工学センター 准教授(任期付き)

<JST事業に関すること>
嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構戦 略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

<報道担当>
早稲田大学 広報室 広報課
科学技術振興機構 広報課

0404情報通信
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