熱や光などの刺激に強い原子層モット絶縁体の発見 ~室温で動作するモット電子デバイスの実現に道~

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2021-10-07 材料科学高等研究所,東北大学,国家同歩輻射研究中心,中国清華大学,科学技術振興機構

ポイント
  • 原子数個の厚さしか持たないTaSeとNbSeの原子層薄膜を作製し、その電子状態の観測に成功
  • 原子層TaSeとNbSeが熱・電子注入・光に対して強いモット絶縁体であることを発見
  • 原子層物質における高温超伝導などの物性開拓やモット絶縁体を活用した室温で動作する電子デバイスの実現に道

「モット絶縁体」は、普通の絶縁体とは異なり、電子同士が避け合うことで絶縁化し、その近傍で超伝導などの多彩な物性が現れることから、古くから盛んに研究されてきました。その一方で、厚さを極限まで薄くして2次元にしたときに室温でモット絶縁体となる原子層物質は発見されておらず、その性質も未解明でした。東北大学 材料科学高等研究所(AIMR)の佐藤 宇史 教授、大学院理学研究科の菅原 克明 准教授、AIMRの岡 博文 助教、福村 知昭 教授、台湾の国家同歩輻射研究中心(NSRRC)および中国清華大学の国際共同研究グループは、分子線エピタキシー法を用いて2セレン化タンタル(TaSe)および2セレン化ニオブ(NbSe)原子層薄膜を作製し、その電子構造をマイクロARPES(角度分解光電子分光)やSTM(走査トンネル顕微鏡)などによって調べました。その結果、モット絶縁体状態がさまざまな外的刺激(熱・光照射・キャリア注入)を受けても極めて強固に保たれていることを明らかにしました。今回の成果は、グラフェンを超える新たな原子層薄膜の物質開拓やそのデバイス化に大きく貢献するものです。

本研究成果は、ネイチャー系英国科学誌「Nature Communications」の2021年10月7日号で公開されます。

本成果は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ「原子・分子の自在配列と特性機能」(研究総括:西原 寛)における研究課題「MBE・原子置換・パターニングを融合した新原子層材料の創製」(研究代表者:菅原 克明)、JST 戦略的創造研究推進事業 CREST「トポロジカル材料科学に基づく革新的機能を有する材料・デバイスの創出」研究領域(研究総括:上田 正仁)における研究課題「ナノスピンARPESによるハイブリッドトポロジカル材料創製」(研究代表者:佐藤 宇史)、日本学術振興会 科学研究費助成金、東北大学-清華大学 共同研究ファンド(研究代表者:佐藤 宇史)などの支援を受けて行われました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Robust charge-density wave strengthened by electron correlations in monolayer 1T-TaSe2 and 1T-NbSe2
DOI:10.1038/s41467-021-26105-1
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
佐藤 宇史(サトウ タカフミ)
東北大学 材料科学高等研究所 教授

菅原 克明(スガワラ カツアキ)
東北大学 大学院理学研究科 物理学専攻 准教授

<JST事業に関すること>
嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

<報道担当>
東北大学 材料科学高等研究所 広報戦略室
科学技術振興機構 広報課

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