2019/1/21アメリカ合衆国バージニア工科大学
(Mechanical engineers develop process to 3D print piezoelectric materials)
・ Virginia Tech が、あらゆる方向からの衝撃・負荷や動きを電気エネルギーに変換する圧電体を、その厚さ、重さ、硬さやエネルギー吸収力等についてカスタム設計で作製する、3D プリント技術を開発。
・ 現行の圧電体は形状の選択肢が少なく、脆い水晶やセラミックを使用するためクリーンルームでの複雑なプロセスで製造されている。高コストなプロセスと材料の脆弱性により、圧電体の能力が最大限に活かされていない。
・ 新しい 3D プリンティングプロセスでは、形状やサイズに制限の無い圧電体が製造できる。また、圧電体の構造を調整できるため、触覚センサー、衝撃・振動モニタリングやエネルギーハーベスティング等のアプリケーションに向けた、次世代のインテリジェントなインフラやスマート・マテリアルの実現の可能性を提供する。
・ 圧電定数の自由な制御と設計を可能にするモデルを開発し、3D プリンタブルなトポロジーをプログラムすることで、様々な方向から加わる力や振動に反応して電荷の動きを発生する材料を作製した。
・ 従来の圧電体では、その結晶構造により電荷の動きが決まっているが、新プロセスでは多方向への電圧レスポンスの増幅、逆流、抑制をユーザーがプログラムできる。圧電体の感度と動作モードを自由に設定できる設計手法とプリンティングの基盤を開発した。
・ 従来の圧電体では原子の方向が固定された天然の結晶の使用しているが、今回、このような結晶を模倣しながらその格子方向の設計変更を可能にする高感度の圧電体インクを開発。紫外光により複雑な 3D 形状が作製できる。同インクは UV 反応性ゲルに結合した高濃度の圧電性ナノ結晶を含む白濁溶液。高解像度デジタルライトプロセッシング(DLP)3D プリンターで使用する。
・ 曲面に巻きつけたり、手や指への装着で動きを電気に変換して機械エネルギーを捕獲するスマート・マテリアルを作製・実証。ロボティクス等の他のアプリケーションでの利用も可能と考える。・ 例えば、圧電材料のみで作製したインテリジェントなインフラ構造では、衝撃や振動を検知し、モニタリングして場所を特定できる。小型の橋梁を 3D プリントして実験した結果、加わった衝撃の場所と規模を検知し、衝撃エネルギーを吸収する材料強度を確認。さらに、水中の振動信号を電圧に変換するスマート・トランスデューサーとしてのアプリケーションも実証した。
・ 本研究は、米国立科学財団(NSF)、米国空軍研究所(AFOSR)、米国海軍研究局(ONR)および Virginia Tech Institute of Critical Technology Junior Faculty Award が一部支援した。
URL:
(関連情報)
Nature Materials 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料) Three-dimensional printing of piezoelectric materials with designed anisotropy and directional response
URL: https://www.nature.com/articles/s41563-018-0268-1
<NEDO海外技術情報より>
Abstract
Piezoelectric coefficients are constrained by the intrinsic crystal structure of the constituent material. Here we describe design and manufacturing routes to previously inaccessible classes of piezoelectric materials that have arbitrary piezoelectric coefficient tensors. Our scheme is based on the manipulation of electric displacement maps from families of structural cell patterns. We implement our designs by additively manufacturing free-form, perovskite-based piezoelectric nanocomposites with complex three-dimensional architectures. The resulting voltage response of the activated piezoelectric metamaterials at a given mode can be selectively suppressed, reversed or enhanced with applied stress. Additionally, these electromechanical metamaterials achieve high specific piezoelectric constants and tailorable flexibility using only a fraction of their parent materials. This strategy may be applied to create the next generation of intelligent infrastructure, able to perform a variety of structural and functional tasks, including simultaneous impact absorption and monitoring, three-dimensional pressure mapping and directionality detection.