2018/07/31 国立天文台
2018年7月30日 (ハワイ現地時間)
地球と「大接近」して観望の好機を迎えている火星を、2018年7月29日 (ハワイ現地時間) にすばる望遠鏡に搭載された近赤外線分光撮像装置 IRCS が撮影しました。表面の細かい模様も写し出されています。
図1: 2018年7月29日 00:09-00:17 (ハワイ現地時間) にすばる望遠鏡 IRCS が撮影した火星。画像上が北、左が東。J バンド (波長 1.25 マイクロメートル) と L’ バンド (波長 3.77 マイクロメートル) のデータによって合成された疑似カラー画像。(クレジット:国立天文台、観測チーム:藤原英明・表泰秀・田中壱・三枝悦子・Mike Lemmen)
火星はおよそ2年2カ月ごとに地球に接近しますが、今回の接近では火星と地球の間の距離が 5759 万キロメートルにまで近づき、視直径は 24 秒角 (1秒角は 3600 分の1度) を超えます。2003年には地球と火星 が 5576 万キロメートルまで接近して大きな話題になりましたが、6000 万キロメートルよりも近い距離での接近となるのは 15 年ぶりのことです。
火星では現在、大規模な砂嵐が発生しており、可視光線では表面の模様が観測しにくい状態が続いています。そこで今回すばる望遠鏡では、砂嵐を見通すことができる赤外線で観測を試みました。その結果、画像下側で青く見えている南極冠に加えて、左上に丸く見えるエリシウム山地などの地形も、写し出すことができました。