一般相対性理論におけるエネルギー概念の革新~ブラックホールの新しい描像と新しい保存量~

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2021-11-05 京都大学

青木慎也 基礎物理学研究所教授、横山修一 同特任助教、大野木哲也 大阪大学教授らの研究グループは、一般相対性理論発見当初から懸案であった一般の曲がった時空において正しいエネルギーの定義を提唱しました。さらにその定義を自然に拡張することで宇宙全体からなる系で、エネルギーとは異なる、別の新しい保存量が存在することを理論的に示しました。

アインシュタインが提唱した一般相対性理論においてエネルギーを含め観測される量は一般座標変換で不変な量でなければなりません。ところが一般相対性理論提唱当初から一般座標変換で不変なエネルギーの定義に困難があったため、その困難を回避しながらエネルギーを計算する様々な試みが行われてきました。本研究グループは、重力の量子論を研究する過程で一般座標不変なエネルギーの定義を発見しました。そしてこの定義をシュワルツシルトブラックホールに適用することで、ブラックホールは特異点に物質が凝縮した超高密度天体である、ということが分かりました。さらにこの定義を自然に拡張することで、よく知られた対称性から導かれる保存量とは異なる保存量が宇宙のような全体からなる系に存在することを発見しました。一様等方宇宙の場合に熱力学第一法則を再現することからこの保存量がエントロピーを表すのではないかと推論しています。

本研究グループは、以上の発見が、ブラックホール、中性子星、重力波、暗黒物質など天文学や宇宙物理学における様々な研究に大きな影響を与えるだけでなく、量子重力という困難な問題の解決への端緒を開くことを期待しています。

本研究成果は、2021年11月3日に、国際学術誌「International Journal of Modern Physics A」のオンライン版に掲載されました。

一般相対性理論におけるエネルギー概念の革新~ブラックホールの新しい描像と新しい保存量~図:(左)M87星雲中の大質量ブラックホール、(右)シュワルツシルトブラックホール

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:青木慎也
研究者名:横山修一

1701物理及び化学
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