2022-09-05 愛媛大学
研究のポイント
- N-置換マレイミドを配位子とする比較的安定な新規Pd(0)錯体の合成に成功した。
- 炭素―炭素結合を主鎖骨格にもつポリマーの新たな末端官能基化の手法の開発に成功した。
研究の概要
愛媛大学大学院理工学研究科の下元浩晃准教授と井原栄治教授らの研究グループは、炭素―炭素結合を主鎖骨格にもつポリマーの新たな末端官能基化の手法の開発に成功しました。
一般に、鎖末端に官能基が導入されたポリマーは末端官能性ポリマーと呼ばれ、機能性ポリマーの材料などとして工業的にも広く利用されています。近年の精密重合技術の発展に伴い、種々の高分子合成手法において末端官能性ポリマーの合成が可能になってきています。本成果は、これまで困難であったジアゾカルボニル化合物をモノマーとする重合における末端官能化を可能にする新手法の開発です。本手法を応用することで、既存の高分子合成法では得ることが困難な構造を有するポリマーの合成が可能となり、新しい機能性ポリマー開発への応用も期待できます。
なお、本成果は、アメリカ化学会発行のMacromolecules誌電子版へ2022年7月14日に掲載されました。
ビニル重合とC1重合
論文情報
掲載誌:Macromolecules
題名:Polymerization of Diazoacetates Initiated by the Pd(N-arylmaleimide)/NaBPh4 System: Maleimide Insertion into a Pd–C Bond Preceding to Initiation Leading to Efficient α-Chain-End Functionalization of Poly(alkoxycarbonylmethylene)s
和訳:Pd(N-アリールマレイミド)/NaBPh4開始剤系を用いたジアゾ酢酸エステルの重合:Pd–C結合へのマレイミド挿入反応による末端官能性ポリ(アルコキシカルボニルメチレン)の合成
著者:Hiroaki Shimomoto, Hinano Hayashi, Kyoka Aramasu, Tomomichi Itoh, and Eiji Ihara
DOI:10.1021/acs.macromol.2c00508
本件に関する問い合わせ先
愛媛大学大学院理工学研究科
准教授 下元 浩晃