触媒ビッグデータから「触媒世界地図」を描写 ~ブラックボックス化していた触媒設計をひもとく~

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2021-09-22 北海道大学,北陸先端科学技術大学院大学,科学技術振興機構

ポイント
  • 触媒の組成・実験条件の知識ネットワーク「触媒世界地図」を触媒ビッグデータから描写。
  • 触媒世界地図を用いた触媒設計が可能となり、新たな活性触媒を発見。
  • 大規模な科学データからの材料・触媒設計の技術基盤になることを期待。

北海道大学 大学院理学研究院の髙橋 啓介 准教授、髙橋 ローレン 学術研究員らの研究グループは北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 物質化学領域の谷池 俊明 教授らと共同で、触媒ビッグデータから触媒の知識を表現した「触媒世界地図」を描写しました。

これまで研究グループは、多数の触媒データを高速で自動取得可能なハイスループット実験装置によりメタン酸化カップリング反応における触媒ビッグデータ(6万件)の構築に成功してきましたが、この規模の触媒データからどのように知識を抽出し触媒設計に結び付けるかが触媒インフォマティクスにおいて大きな課題でした。

そこでメタン酸化カップリング反応におけるハイスループット実験装置により得られた触媒ビッグデータに対して、オントロジー(知識の関係性をネットワークとして記述)の概念を活用することにより、触媒ビックデータから元素組成・実験条件・C2収率などの関係性を描写し、触媒の世界地図を作成することに成功しました。この触媒の世界地図により各要件の関係性が明白となり、そこで得られた情報から触媒設計が実現しました。

結果、触媒の世界地図からKVEu-BaO(20パーセントC2収率)、LiTiW-BaO(19パーセントC2収率)、EuMgZr-BaO(19パーセントC2収率)、MoKW-BaO(19パーセントC2収率)などの未報告の活性触媒を設計し、実験実証することに成功しました。

本手法は触媒ビッグデータや材料ビッグデータにも適用できるため、大規模な科学データからの材料・触媒設計の技術基盤になることが期待されます。

本研究成果は、英国夏時間2021年9月22日(水)公開の「Chemical Science」誌にてオンライン公開される予定です。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST研究領域「多様な天然炭素資源の活用に資する革新的触媒と創出技術」(研究総括:上田 渉)における「実験・計算・データ科学の統合によるメタン変換触媒の探索・発見と反応機構の解明・制御」(研究代表者:髙橋 啓介)の支援を受けて行われました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Constructing Catalyst Knowledge Networks from Catalysts Big Data in Oxidative Coupling for Methane for Designing Catalysts”
DOI:10.1039/D1SC04390K
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
髙橋 啓介(タカハシ ケイスケ)
北海道大学 大学院理学研究院 准教授

谷池 俊明(タニイケ トシアキ)
北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授

<JST事業に関すること>
嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

<報道担当>
北海道大学 総務企画部 広報課
北陸先端科学技術大学院大学 評価・広報室
科学技術振興機構 広報課

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