双子原始星からのふぞろいな分子流から連星系形成の謎に迫る

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2019-09-10 国立天文台

図:双子原始星からのふぞろいな分子流と円盤の想像図。図:双子原始星からのふぞろいな分子流と円盤の想像図。(クレジット:国立天文台 ) オリジナルサイズ(4.8MB)

星の多くは、連星として生まれるということが分かっています。しかし、どのようにして連星が生まれたかはまだよく分かっておらず、連星が作られるメカニズムはいくつも提唱されています。例えば「乱流分裂モデル」は、星の材料である分子雲が乱流によって複数の分子雲コア(星の卵)に分裂し、分子雲コアどうしが互いに回り合う中で星が生まれ、最終的に連星系ができる、というものです。また「円盤分裂モデル」では、原始星を取り巻くガス円盤(原始星円盤)が分裂してもう一つの星を生み出すことで、連星ができると考えます。これらが複合的に合わさって最終的な連星系ができるという考え方もあり、どのモデルが優勢なのかまだ決着が付いていません。

連星形成のメカニズムに迫るためには、数多くの若い連星系を観測し、これらの特徴を統計的に考察する必要があります。このときに注目すべき特徴の一つは、原始星の周りにできる「円盤の向き」です。

今回、NEC/東京大学の原千穂美(はら ちほみ)氏と国立天文台の川邊良平(かわべ りょうへい)教授を中心とした研究チームは、最も若く連星の間隔が狭い双子原始星VLA1623Aを、アルマ望遠鏡を用いて高解像度で観測しました。その結果、双子原始星のそれぞれから、異なる方向に噴き出すふぞろいな分子流を発見しました。分子流は、原始星円盤の回転軸方向に飛び出すのが普通です。2本の分子流の方向がそろっていないということは、二つの原始星円盤の回転軸が大きく傾いているということを示しています。間隔の狭い連星系で、ふぞろいな分子流が見つかった例は初めてです。

従来の考え方では、間隔の狭い連星系の多くは「円盤分裂」によって形成され、円盤の向きはそろっているはずだと考えられてきました。しかし、磁場や乱流など現実的な様々な効果を取り入れた近年の「円盤分裂モデル」では、円盤の向きがそろわない可能性も指摘されています。今回のVLA1623Aの結果はこの「円盤分裂モデル」と合致するものですが、「乱流分裂モデル」を棄却するものでもありません。今後は観測を増やすことで、連星系形成のモデルを検証し、どのようなモデルが支配的かを解き明かしたいと研究チームは考えています。また、回転軸がふぞろいな円盤からはふぞろいな惑星系が生まれてくる可能性もあり、太陽系外惑星系はなぜこれほど多様なのかという誕生の謎にも迫ることができると期待されています。

この成果は、9月11日から熊本大学で開催される日本天文学会2019年秋季年会において発表されます。

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