135億年前の星形成の痕跡を発見!〜最遠の「老けた銀河」探査〜

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2019-09-10 国立天文台

図:観測された赤方偏移6の老けた銀河(左)とその銀河が星形成をしていた赤方偏移14の時代における先祖(右)の想像図。観測された赤方偏移6の老けた銀河(左)とその銀河が星形成をしていた赤方偏移14の時代における先祖(右)の想像図。(クレジット:国立天文台 ) オリジナルサイズ(8.3MB)

宇宙で最初の銀河の探求は現代天文学の重要なテーマです。これまでにビッグバンから5億年後(約133億光年の距離)の銀河まで発見されました。さらに宇宙初期の銀河形成に迫るため、東京大学宇宙線研究所の馬渡健(まわたり けん)特任研究員、早稲田大学の井上昭雄(いのうえ あきお)教授らの研究チームは、年老いた恒星から成る銀河―「老けた」銀河―に注目しました。「老けた」銀河は、過去の星形成の痕跡を残す化石のような天体であり、発見された時代よりも過去の様子を探る重要な手がかりを与えてくれます。

研究チームは、ろくぶんぎ座の方向にある「COSMOS(コスモス)」という天域で、宇宙年齢10億年の時代の「老けた」銀河の探査を行いました。COSMOS天域では、日本のすばる望遠鏡を含む世界中の望遠鏡が協力した観測がこれまでに行なわれており、全天で最も良質な画像データが揃っています。研究チームは、既存の観測データに加え、アルマ望遠鏡による超高感度電波観測も独自に行い、同天域にある近赤外線で明るい3万7千の天体から「老けた」銀河の候補を3つ選び出しました。

詳細な解析から、これらの天体はいずれも、宇宙年齢10億年程度の時代にある約7億歳の星から成る「老けた」銀河である可能性が高いことがわかりました。つまり、宇宙年齢わずか3億年(135億光年の距離)の時代に銀河が誕生していたことが推測できます。

本研究は、宇宙で最初期の星形成活動を垣間見た成果として、9月11日から熊本大学で開幕する日本天文学会2019年秋季年会にて発表されます。

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