2019-09-03 JAXA はやぶさ2プロジェクト
9月5日に予定されていた「ターゲットマーカ分離運用」は、探査機がセーフホールド(※)状態になりましたので延期となりました。なお、探査機の状態は正常です。
経緯は以下のとおりです。
はやぶさ2は、姿勢制御のための装置として、リアクションホイールを4個搭載しており、通常は3個のリアクションホイールを使って姿勢制御が行われています。8月29日に、昨年の10月以来使用していなかったバックアップのリアクションホイールの動作試験を実施したところ、リアクションホイールに異常値(トルク値の増加)を検出したため、探査機は自律的にセーフホールド状態に移行しました。この原因の詳細は現在調査中です。8月30日には復帰作業を行い、探査機は通常の状態に戻りました。ただし、セーフホールドによってホームポジションから離れてしまいましたので、現在、ホームポジションに戻す作業を行っています。ホームポジションには、今週末に戻る予定です。
探査機は、これまでと同様に3つのリアクションホイールで姿勢制御が行われています。セーフホールド状態になることは探査機を安全に保つ機能の1つで、これが正常に動作したということになります。
ターゲットマーカ分離につきましては、新しい予定が決まりましたらお知らせします。
※セーフホールドとは、宇宙機(人工衛星や太陽系天体探査機など)に何らかの 異常が発生したときに、太陽電池パネルを太陽に向けて発電量を保持しつつ、 機体をスピン(回転)状態にすることで姿勢を安定させ、通信などの必要最小限の 機器のみを作動させるモードのことである。このことで、機体の安全を最優先に確保する。 「はやぶさ2」の場合、小惑星近傍滞在中は、小惑星に衝突することを避けるため、 小惑星から離れる方向に加速も行う。