2019/5/31 アメリカ合衆国・ライス大学
(Flexible generators turn movement into energy)
・ ライス大学が、レーザー誘起グラフェン(laser-induced graphene: LIG)を利用した、摩擦帯電型ナノ発電器(triboelectric nanogenerator: TENGs)を開発。
・ LIG 複合材料を物質の表面に接触させることで得られる摩擦帯電効果で発生する静電気で、ウェアラブルデバイスに電力を供給できる。
・ 折り曲げた状態の LIG をひも状の LED に接続した実験では、LIG を軽く叩くと LED が発光した。サイズの大きな LIG を埋め込んだゴムサンダルでは、着用者の歩行でグラフェンの複合材が皮膚に繰り返し接触して発電し、小型のキャパシタを充電した。歩行中の踵の接地や胴体に対する腕の振りのみで、小型デバイスを充電できる可能性があると考える。
・ LIG は、ポリマー等の材料の表面の化学物質をレーザーで加熱してでできるグラフェンの発泡体。開発初期の LIG ではポリアミドを使用し、その後、植物、食品、表面加工紙や木材等でも作製している。ポリアミドやコルクを始め、様々な材料で LIG を作製して発電能力や耐久性を調査し、接触帯電による静電気発生能力を定量化した摩擦帯電系列表の両端の材料で最も優れた結果を得た。
・ 折り曲げた状態の LIG は、負に帯電するポリアミドに正に帯電するポリウレタンの保護コーティング剤をスプレーしたもの。約 1kV を発電し、5,000 回の折り曲げサイクル後も安定性を維持した。
・ 最も優れた組合せであるポリアミド LIG 複合材とアルミニウムでは、8mW 超のピークパワーで約 3.5kV を発電した。ゴムサンダルに埋め込んだ LIG では、1km の歩行後、キャパシタに 0,22mJ を蓄電した。これは、人の動きを利用してウェアラブルセンサー等へ電力を供給するのに充分なエネルギー貯蔵率と考える。
・ 本研究は、米空軍科学研究局(AFOSR)が支援した。
URL: https://news.rice.edu/2019/05/31/flexible-generators-turn-movement-into-energy/
(関連情報)
ACS Nano 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Laser-Induced Graphene Triboelectric Nanogenerators
URL: https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsnano.9b02596
<NEDO海外技術情報より>