新次元に縮小したポータブルガス検出器 (Portable gas detection shrinks to new dimensions)

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2019/6/27 アメリカ合衆国・サンディア国立研究所(SNL)

(Portable gas detection shrinks to new dimensions)

・ サンディア国立研究所が、化学兵器対応のポータブル有毒ガス検出器のセンサーの小型化、高速化、高性能化を実現。高感度な携帯システムの統合に適した性能で、小型化により空気中の毒素を現場で迅速に検出可能、緊急非常時対応の安全確保と効果的な処置に直結した情報提供が可能だ。

・ 化学物質の検出は通常、化学物質放出現場でサンプルを採取した後、ラボに持ち帰り、専門の職員が検出器にかけ、多様なガスサンプル中を推移させて分子を計量し、ガスの種類を特定する。携帯用のガス検出器では、マススペクトロメーター(質量分析計)が市販されているが、ラボ使用のものより感度が低い。

・ サンディア国立研究所では、ポータブルガス検出器の性能低下の回避に、20 年以上取り組んできた。センサーにガスクロマトグラフィー(GC)技術を適用した書類ケースサイズの検知器が、ボストン市内の地下鉄で 22 か月間の試運転中、誤警報をおこさずに神経ガスやびらん剤を検出。センサーは単三電池サイズで、汗中の化合物も検出可能。干ばつや疫病発生時等に植物がストレスを受けて放出するガスを特定、農作物の育成状況をモニタリングできる。

・ 新技術では、同センサーの更なる性能向上と共に、1 ドル紙幣程度までサイズを縮小。ガスサンプルは 2 回分離、全体の解析を 10 秒間で行う。分離過程を 1 回追加したことにより、化学物質放出時に同時に空気中に存在する溶剤、洗浄剤やディーゼル燃料からの干渉が減少、検出された目標化合物のシグナルの信頼性が向上する。

・ 『Lab on a Chip』誌に掲載された本研究の論文には、同センサーを使用して、29 種類の化合物混合物の各成分を 7 秒間で特定したことが紹介されている。また、同システムは、40 日間の連続試運転中、マスタードガスとホスホン酸塩基の神経ガスを模倣した化合物を正確に検出した。

・ 各分離段階でガスが流れる速さを制御するセンサーの圧力弁の作用により、迅速な分析が可能。温度制御されたシステム使用時より、センサーの消費電力が少なくてすむからだ。今後は、ラボ使用機材の性能を上回るような統合した化学的分離、選択的検出、コンピューターデータ分析能力を備えた、完全にポータブルな分析システムの開発に挑む。

・ 本研究の大部分は、米国防高等研究計画局(DARPA)と米国防脅威削減局(DTRA)、サンディア国立研究所の Directed Research and Development program から資金を得た。また、統合システムの構築やラボ使用機材に匹敵する付加機能導入のため、現在資金提供を募集中。 URL: https://share-ng.sandia.gov/news/resources/news_releases/gas_detection/

(関連情報)

Lab on a Chip 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)

A high-speed, high-performance, microfabricated comprehensive two-dimensional gas chromatograph

URL: https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2019/LC/C9LC00027E#!divAbstract

<NEDO海外技術情報より>

0505化学装置及び設備
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