局在する光でシリコンの高効率光吸収を実現~太陽電池の高効率化にもつながる成果~

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2019-06-24 東京大学


 東京大学大学院工学系研究科の八井崇准教授、千足昇平准教授、丸山茂夫教授、筑波大学計算科学研究センターの野田真史研究員、矢花一浩教授、分子科学研究所の飯田健二助教、(故)信定克幸准教授らの研究グループは、ナノスケールで局在した空間的に非一様な光(近接場光)を利用することで、シリコンの光吸収の増大に成功しました。

電子デバイスを構成する材料として広く用いられているシリコンは、太陽電池など光デバイスとしても広く利用されています。しかし、シリコンは間接遷移半導体であるため、光吸収が弱く、太陽電池など光受光素子として利用した場合、高い効率が得られないという問題がありました。

研究グループでは、近接場光の持つ光の局在性に着目し、不確定性原理に基づき間接遷移半導体でも直接遷移半導体のような強い光吸収が起きることを予測してきました。今回、この予測を実験的に確認するために、近接場光の効果が顕著に現れるシリコン受光器を作製し、シリコンの吸収端近傍の光波長領域で、光吸収が増大することをつきとめました。

シリコンは、太陽電池の材料として広く使われており、本研究の発展により、太陽電池の高効率化につながる成果であると期待しています。

「今回、これまで困難とされていた、シリコンの光吸収効率を向上させることに成功しました。シリコンは、原理的に光の吸収効率は低いと考えられていました」と八井准教授は説明します。「しかし、これは、光を通常の伝播光として考えた場合のことで、ナノ寸法の光には適用されません。不確定性原理に基づいた考え方をこのナノの光に適用すると、シリコンでも強い光吸収が起きることは、不思議なことではありません。今回の発見は純粋な基礎研究への寄与だけではなく、太陽電池の高効率化にもつながる成果であると期待しています」と続けます。

論文情報

T. Yatsui, S. Okada, T. Takemori, T. Sato, K. Saichi, T. Ogamoto, S. Chiashi, S. Maruyama, M. Noda, K. Yabana, K. Iida, and K. Nobusada, “Enhanced photo-sensitivity in a Si photodetector using a near-field assisted excitation,” Communications Physics: 2019年6月20日, doi:10.1038/s42005-019-0173-1.
論文へのリンク (掲載誌)

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