薬剤抵抗性害虫の被害を防ぐガイドライン案を公開

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遺伝子診断で早期に検出し、効果的な防除を目指す

2019-03-20  農研機構

ポイント

  • 農研機構を中心とする研究グループは、薬剤に抵抗性を持つ害虫1)を、遺伝子診断で早期に検出する技術を開発しました。
  • コナガやワタアブラムシなど6種の重要害虫に適用できます。
  • 害虫別にサンプリング手法や診断方法、代替防除法の提案などをまとめたガイドライン案を作成し、農研機構ウェブページで公開しました。

概要

害虫を防除するために同じ薬剤を続けて使用すると、その薬剤が効かない「抵抗性害虫」が出現し、やがて大勢を占めるようになります。抵抗性害虫の対策には、抵抗性個体群の早期発見と適正な薬剤使用が特に重要です。
そこで研究グループは、国内で発生している代表的な薬剤抵抗性害虫の抵抗性獲得原因となる遺伝子変異を同定し、その変異をPCR法で検出する技術2)を開発しました。この検出技術は感度が高く、地域内の個体群を適切にサンプリングすれば、被害が発生する前に、薬剤抵抗性遺伝子を持つ害虫の地域内での侵入や定着状況(リスクレベル)を判断することもできます。
今回、害虫防除指導者向けに、薬剤抵抗性遺伝子診断法、サンプリング手法、簡易生物検定法、抵抗性発達リスク判定の基準、代替防除法の提案をまとめたガイドライン案を、農研機構ウェブページ(以下URL)で公開しました(表1、図1、図2)。
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/121745.html
本ガイドライン案を用いることにより、地域ごとの作目や栽培様式に応じた薬剤抵抗性害虫対策の組み立てが可能になります。

関連情報

予算:農林水産省委託プロジェクト研究「ゲノム情報等を活用した薬剤抵抗性管理技術の開発」

問い合わせ先など

研究推進責任者 : 農研機構 生物機能利用研究部門 昆虫制御研究領域長 中島 信彦
広報担当者 : 同 広報プランナー 高木 英典

詳細情報

用語の解説
  • 薬剤抵抗性害虫 同一生物種の個体間には様々な遺伝的な多様性があります。害虫種の中にも農薬の作用点になる受容体や、代謝分解酵素の遺伝子に多様性があり、農薬が効かない変異を持つ系統がごくわずかに個体群の中に含まれます。このような個体群に同じ農薬が継続的に使用されると、抵抗性を持つ系統が増殖して被害をもたらすようになると考えられています。
  • PCR法による検出技術 これまで、害虫が持つ薬剤抵抗性の強弱は濃度を変えた薬剤を処理したあとの死虫率を調べることにより判定され、結果を得るまでに数週間から数ヶ月を要していました。特定の遺伝子を2時間程度で検出できるPCR法を用いることにより、約半日で被験虫が薬剤抵抗性遺伝子を持っているか確認できます。
参考図

表1 ガイドライン案の内容構成(上記URLからダウンロード可能)

薬剤抵抗性管理の概説 害虫種別のガイドライン案 害虫種別検定法技術マニュアル
生物検定法 – 遺伝子診断法
・抵抗性発達の経緯と現状 ・コナガ ・コナガ – ジアミド剤
・薬剤抵抗性管理の考え方 ・チャノコカクモンハマキ ・チャノコカクモンハマキ – DAH系IGR剤
・サンプリングとリスクレベル ・ワタアブラムシ ・ワタアブラムシ – ネオニコチノイド剤
・抵抗性遺伝子検出の概要 ・ネギアザミウマ ・ネギアザミウマ – ピレスロイド剤
・生物検定法の計算手法 ・ナミハダニ ・ナミハダニ – キチン生合成阻害剤
・農薬散布時の留意点 ・ウンカ ・トビイロウンカ – ネオニコチノイド剤
殺虫剤の作用機構分類表 IRACコードの説明 農薬名50音順IRACコード対応表

図1 ガイドライン案にもとづく薬剤抵抗性管理手順の概略

図2 ワタアブラムシのネオニコチノイド剤抵抗性遺伝子診断結果の例

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