一酸化炭素を室温で高効率に無害化する新触媒を開発

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金ナノ粒子/酸化鉄多孔体で実現 喫煙室空気清浄機へ搭載など分煙化への切り札として期待

2018/07/19 物質・材料研究機構

NIMSは、首都大学東京、株式会社NBCメッシュテックと共同で、有害な一酸化炭素 (CO) を室温下で無害化する新触媒を開発しました。

概要

  1. NIMSは、首都大学東京、株式会社NBCメッシュテックと共同で、有害な一酸化炭素 (CO) を室温下で無害化する新触媒を開発しました。酸化鉄のナノ多孔体に金ナノ粒子を保持させるハイブリッド型にすることで、市販の触媒に比べ5倍以上の除去率を実現しました。喫煙室向け空気清浄機フィルターなどさまざまな場面での活用が期待されます。
  2. 空気清浄機は、タバコやペットの臭い対策や、車や工業から排出される有害物質除去まで、すでに幅広く活用されています。しかし従来の空気清浄機では、タバコや排ガスに含まれる有毒な一酸化炭素(CO)を効率良く除去することができません。原因は、一酸化炭素を室温で酸化除去する有効な触媒がないためです。1984年に、ナノ粒子化 (直径10 nm以下) された金が、室温で一酸化炭素を酸化することが首都大学東京の春田名誉教授・客員教授らによって報告されていますが、金ナノ粒子は非常に凝集しやすく、単独では本来の触媒活性を発揮できないという大きな課題がありました。
  3. 本研究チームは、酸化鉄ナノ多孔体に金ナノ粒子触媒を固定したハイブリッド型の新触媒を開発しました。1グラムあたりおよそ200平方メートルもの非常に高い比表面積をもつナノ多孔体に、金ナノ粒子を均一に分散させて凝集を抑制することで、室温で一時間あたり8.41 molCO/gAuもの高い一酸化炭素の除去能力を実現しました。さらにこの触媒は、初期の20%の触媒活性を、長期間維持できることも確認しました。
  4. 2020年の東京オリンピックに向けた分煙化議論を皮切りに、喫煙室向けに一酸化炭素を無害化する触媒の開発が喫緊の課題となっています。本研究の技術を使用することで、経済面と環境面の両者に優れた空気清浄機のフィルター開発につながることが期待されます。今後は、生産規模拡大や応用製品開発を目指します。
  5. 本研究は、物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 (MANA) メソスケール物質化学グループの山内悠輔グループリーダー (豪Queensland大学 化学工学科 教授兼務) 、板東義雄MANAエグゼクティブアドバイザー、Yusuf Valentino Kaneti JSPSフェロー、田中駿祐 大学院生 (博士課程3年) らと、首都大学東京・春田正毅名誉教授・客員教授、株式会社NBCメッシュテックと共同で行われました。
  6. 本研究成果は、イギリス王立化学会「Chemical Communications」のオンライン速報版で2018年7月17日 (現地時間) に公開されます。

一酸化炭素を室温で高効率に無害化する新触媒を開発

プレスリリース中の図 : (1)ナノフレーク状の酸化鉄ナノ多孔体の電子顕微鏡像。(2) 金ナノ粒子をナノフレーク状の酸化鉄ナノ多孔体に担持した電子顕微鏡像。



掲載論文

題目 : Room temperature carbon monoxide oxidation based on two-dimensional gold-loaded mesoporous iron oxide nanoflakes
著者 : Yusuf Valentino Kaneti, Shunsuke Tanaka, Yohei Jikihara, Tsuruo Nakayama, Yoshio Bando, Masatake Haruta, Md. Shahriar A. Hossain, Dmitri Golberg and Yusuke Yamauchi*
雑誌 : Chemical Communications
DOI:10.1039/C8CC03639J

0501セラミックス及び無機化学製品
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