(Ultrathin 3-D-printed films convert energy of one form into another)
2019/8/28 アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学(MIT)
・ MIT は、3D プリントで高性能な圧電特性をもつ極薄フィルムを、シンプルで低廉に作製。フレキシブルエレクトロニクスや高感度バイオセンサーの部品に使用可能。
・ 圧電体は、機械的な歪みに応答して電圧を発生し、逆に電圧を加えると機械的な歪みを発生し、主に電力の相数、周波数を変える変換器に使用されている。
・ 例えば、ロボットの作動装置は、圧電体を使用して、電気信号に反応し、関節などのパーツを動かす。様々なセンサーも、圧電体を使用して、電圧や温度、力や他の機械的な刺激を、測定可能な電気信号に変換。
・ 研究者たちは、環境発電、タッチパネルの高感度な圧力センサー等のフレキシブルな電子機器に使用できる極薄の圧電フィルムの開発を、長年に渡り試みてきた。このフィルムは、超小型バイオセンサーにも使用でき、特定の病気や健康状態のバイオマーカーである分子を検出できるほど高感度。
・ このようなアプリケーションに使用される圧電体は通常、セラミックの結晶体であり、極薄なため、高周波で共鳴する。従来の製造方法でセラミックの極薄圧電フィルムを作製するには、複雑で高価格なプロセスが必要。
・ 新技術は、セラミックコンデンサを、室温で作製可能な積層造形技術を用いて、100nm の薄さに 3D プリントする技法。機能性を失わずにフレキシブルな基質を備えた圧電フィルムをプリントでき、約 5GHz で共鳴するので、高性能なバイオセンサーに十分対応。
・ 窒化アルミニウムや酸化亜鉛製の圧電セラミック薄膜は、物理気相成長法や化学気相成長法で生成するが、その生成プロセスには、高温、高圧の条件下、清浄なクリーンルームが必要で、時間を要し、高コスト。
・ より低廉に 3D プリント可能な薄型の圧電フィルムもあるが、ポリマー製であるため、分極化されなければならず、3D プリントした後に圧電特性を添加しなければならない。また、材料が何十ミクロン厚にもなるため、高周波作動が可能な極薄フィルムにはならない。
・ 新技術では、極薄フィルムのプリントに、高電場を使用して液体ジェットをノズルから吐出する、近接場電気流体力学的(NFEHD)蒸着という積層造形技術を適用。この技術を、圧電特性をもつフィルムのプリントに使用するのは初めての試み。
・ 3D プリントに使用する液体原料は、酸化亜鉛ナノ粒子を不活性溶剤に混合したもので、基板に印刷して乾燥させると、圧電体を形成。
・ 原料は 3D プリンター内の中空針を通じて供給され、プリント作動の進行と連動して針の先端に特定のバイアス電圧をかけ、流量を制御すると、液体上部の曲線、メニスカスが円錐形状に形成され、先端から高純度な液体ジェットを吐出。
・ 液体ジェットは、自然に壊れて液滴化する傾向があるが、針の先端を 1mm ほど基質に近づけると壊れなかった。基質上には、この過程で長くて細い線がプリントされ、その後、華氏約 76 度でその線を重ね合わせ、上下逆さにして乾燥させる。
・ 研究チームは、フィルムが、従来のバルクな製造手法で作製されたものよりも、強い圧電反応を示すことを、顕微鏡技術を用いて実証。従来の製造方法では、材料の反応を決定する、フィルムの圧電軸の方向を完全には制御できないがためである。
・ 本研究は、3D プリント技術を使用して、機能的な圧電フィルムを作製するフィージビリティを実証したもの。低温で 3D プリント可能な圧電構造の製造につながり、新たなレベルのミクロスケールのセンサー、作動装置や共鳴装置の実現が可能となり得る。・ 研究者たちは現在、Monterrey Tec との共同事業で、本技術を利用して、バイオマーカーや特定の病気や状態を検出するための圧電バイオセンサーの作製に取り組んでいる。
・ 同バイオセンサーには共鳴回路が統合され、圧電極薄フィルムが特定の周波数で振動、圧電体は特定の分子バイオマーカーを表面にひきつける。・ 分子が表面に張り付くと、圧電体が、回路の周波数振動を微量にシフト。その微量な周波数シフトは測定可能で、表面に堆積する分子の量と相関がある。
・ 研究チームでは、さらに燃料電池の電極の劣化を測定するセンサーを開発中。バイオセンサーと同じように機能するが、周波数内のシフトが電極内の特定の合金の劣化と関連づけられる。燃料電池の交換のタイミングを重大事故が発生する前にリアルタイムで測定する予定。
URL: http://news.mit.edu/2019/3-d-printed-piezoelectric-films-0828
(関連情報)
ACS Applied Materials & Interfaces 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Ultrathin Ceramic Piezoelectric Films via Room-Temperature Electrospray Deposition of ZnO Nanoparticles for Printed GHz Devices
URL: https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.9b09563#
<NEDO海外技術情報より>
Abstract
High-frequency devices are key enablers of state-of-the-art electronics used in a wide and diverse range of exciting applications such as inertial navigation, communications, power conversion, medicine, and parallel computing. However, high-frequency additively manufactured piezoelectric devices are yet to be demonstrated due to shortcomings in the properties of the printed transducing material and the attainable film thickness. In this study, we report the first room-temperature-printed, piezoelectric, ultrathin (<100 nm) ceramic films compatible with high-frequency (>1 GHz) operation. The films are made of zinc oxide (ZnO) nanoparticles via near-field electrohydrodynamic jetting, achieving film piezoelectricity, without high-temperature processing, through a novel mechanism that is controlled during the deposition. Optimization of the printing process and feedstock formulation results in homogeneous traces as narrow as 213 μm and as thin as 53 nm as well as uniform field films as thin as 91 nm; the printing technique can be used with flexible and rigid, conductive and insulating substrates. The crystallographic orientation of the imprints toward the (100) plane increases if the rastering speed during printing is augmented, resulting in a larger piezoelectric response. The resonant frequency of film bulk acoustic resonators increases monotonically with the rastering speed, achieving transmission values as high as 4.99 GHz, which corresponds to an acoustic velocity of 2094 m/s, similar to the expected transverse value in high-temperature-grown ZnO films. Piezoresponse force microscopy maps of printed field films show local variation in the piezoelectric behavior across the film, with an average piezoelectric response as high as 21.5 pm/V, significantly higher than the d33 piezoelectric coefficient of single-crystal, high-temperature-grown ZnO, and comparable with reported values from ZnO nanostructures.