濃い紫色で食味の良い紫サツマイモ新品種 「ふくむらさき」

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「べにはるか」並に糖度が高く、しっとりとした食感

2018/11/15 農研機構

農研機構は、食味の良い紫サツマイモ新品種「ふくむらさき」を育成しました。現在主力品種として普及している紫サツマイモ品種「パープルスイートロード」より紫色が濃く、食味も優れています。蒸しいもや焼きいもの糖度は「べにはるか」並に高く、しっとりとした食感です。関東を中心とする青果用サツマイモ産地において、良食味の紫サツマイモ品種として普及する予定です。

概要

現在、沖縄県を除いた日本の各地域では、食用の紫サツマイモ品種は「パープルスイートロード」が最も普及しています。しかし本品種は、黄肉色のサツマイモ品種に比べると食味の評価が低いことから、より食味の良い紫肉色のサツマイモ品種を求める生産者および実需者の声が高まっていました。
そこで農研機構は、「パープルスイートロード」より食味が優れ、また紫色の濃いサツマイモ新品種「ふくむらさき」を育成しました。蒸しいもや焼きいもにした時の糖度は「べにはるか」並に高く、肉質は中~やや粘質でしっとりとした食感です。 「ふくむらさき」は茨城県など関東を中心とする青果用サツマイモ産地において、良食味の紫サツマイモ品種として普及する予定です。
2019年春より、民間種苗会社などを通じて「ふくむらさき」の苗が供給される予定です。

関連情報

予算: 運営費交付金、平成29年度農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業委託事業(継続課題)「地域ブランド強化のための高品質食用・加工用サツマイモ品種の開発」
品種登録出願番号:「第33033号」(平成30年4月16日出願)

お問い合わせ

研究推進責任者

農研機構 九州沖縄農業研究センター所長 大黒 正道

研究担当者

同 畑作研究領域 サツマイモ育種グループ 甲斐 由美、末松 恵祐 TEL:0986-24-4270

広報担当者

同 企画部産学連携室長 樽本 祐助 TEL:096-242-7682 FAX:096-242-7543
プレス用E-mail:konarc-press-mail

本資料は筑波研究学園都市記者会、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブ、九州各県の県政記者クラブ、日本農業新聞九州支所に配付しています。

※農研機構(のうけんきこう)は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネーム(通称)です。新聞、 TV 等の報道でも当機構の名称としては「農研機構」のご使用をお願い申し上げます。

詳細ファイル

濃い紫色で食味の良い紫サツマイモ新品種 「ふくむらさき」

―「べにはるか」並に糖度が高く、しっとりとした食感―

農研機構は、食味の良い紫サツマイモ新品種「ふくむらさき」を育成しました。現在 主力品種として普及している紫サツマイモ品種「パープルスイートロード」より紫色が 濃く、食味も優れています。蒸しいもや焼きいもの糖度1)は「べにはるか」並に高く、 しっとりとした食感です。関東を中心とする青果用サツマイモ産地において、良食味の 紫サツマイモ品種として普及する予定です。

現在、沖縄県を除いた日本の各地域では、食用の紫サ ツマイモ品種は「パープルスイートロード」が最も普及 しています。しかし本品種は、黄肉色のサツマイモ品種 に比べると食味の評価が低いことから、より食味の良い 紫肉色のサツマイモ品種を求める生産者および実需者の 声が高まっていました。

そこで農研機構は、「パープルスイートロード」より 食味が優れ、また紫色の濃いサツマイモ新品種「ふくむ らさき」を育成しました。蒸しいもや焼きいもにした時の糖度は「べにはるか」並に高 く、肉質は中~やや粘質でしっとりとした食感です。

「ふくむらさき」は茨城県など関東を中心とする青果用サツマイモ産地において、良食 味の紫サツマイモ品種として普及する予定です。

2019 年春より、民間種苗会社などを通じて「ふくむらさき」の苗が供給される予定です。

<関連情報>予算: 運営費交付金、平成 29 年度農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業委 託事業(継続課題)「地域ブランド強化のための高品質食用・加工用サツマイモ品種の開発」

品種登録出願番号:「第 33033 号」(平成 30 年 4 月 16 日出願)

問い合わせ先

研究推進責任者:農研機構九州沖縄農業研究センター 所長 大黒 正道

研 究 担 当 者 : 同 畑作研究領域 サツマイモ育種グループ 甲斐 由美、末松 恵祐

広 報 担 当 者 : 同 企画部産学連携室長 樽本 祐助

本資料は筑波研究学園都市記者会、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブ、九州各県の県政記者ク ラブ、日本農業新聞九州支所に配付しています。

※農研機構(のうけんきこう)は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネーム(通称)です。 新聞、TV 等の報道でも当機構の名称としては「農研機構」のご使用をお願い申し上げます。

新品種育成の背景と経緯

塊根 (かいこん) 2)にアントシアニン 3)を含む紫肉色のサツマイモは、沖縄県や鹿児島県の島しょ部 では「紅(べに) いも」として古くから親しまれ、食用とされてきましたが、その他の地域ではあ まり一般的ではありませんでした。現在、沖縄県を除く地域で食用として最も普及してい る紫肉色のサツマイモ品種は「パープルスイートロード」ですが、黄肉色のサツマイモ品 種に比べると食味の評価が低いことから、食味の良い紫肉色のサツマイモ品種を求める生 産者および実需者の声が高まっていました。

そこで、甘味が強く食味の優れる紫サツマイモ新品種の育成に取り組みました。

新品種「ふくむらさき」の特徴

1. 「ふくむらさき」は、食味が優れる黄肉色サツマイモ系統「九系 255」を母、「パープル スイートロード」を父とし、交配してできた品種です。

2. 「ふくむらさき」は、「パープルスイートロード」より濃い紫肉色が特徴です(写真 1、 2)。

3. 「ふくむらさき」の焼きいもは「パープルスイートロード」と比べてしっとりとし、甘 さや食感が優れるため、食味の総合評価が高くなっています(図 1)。

4. 「ふくむらさき」の蒸しいもや焼きいもの糖度は、「パープルスイートロード」より高 く、「べにはるか」と同程度です(図 2、3)。しかし、いもが小さめで収量が標準品種 より少ない(表 1)ので、早掘りを避け、十分な生育期間を確保する必要があります。

今後の予定・期待

「ふくむらさき」は茨城県など関東を中心とする青果用サツマイモ産地において、良食 味の紫サツマイモ品種として普及する予定です。

2019 年の春から、民間種苗会社などを通じて苗が供給される予定です。

品種名の由来

その美味しさで食べた人を幸福な気持ちにすることができる紫サツマイモであることを 表しています。

種苗入手先に関するお問い合わせ先

農研機構九州沖縄農業研究センター 企画部 産学連携室 産学連携チーム

利用許諾契約に関するお問い合わせ先

農研機構本部 知的財産部 知的財産課 種苗チーム

用語の解説

1)糖度:糖度は光の屈折率の違いを利用して試料液(測定対象となる液体)に含まれる糖 分の量を測定するもので、糖度計で測定した値であり、Brix(ブリックス)値とも呼ば れます。蒸しいもや焼きいもを試料とする場合は、糖以外の成分も測定値に影響を与え ることが分かっていますが、一般的に甘さの指標となっています。

2)塊根:サツマイモやダリアなどの植物において、でん粉などを蓄えて肥大した根を塊根 と呼びます。

3)アントシアニン:ブルーベリーやブドウなどにも含まれる紫色の天然色素の 1 種です。

参考図

写真 1「ふくむらさき」の塊根 標準栽培した「ふくむらさき」と「パープルスイートロード」。2018 年 10 月 14 日撮影。

写真 2「ふくむらさき」の蒸しいも断面 標準栽培した「ふくむらさき」と「パープルスイートロード」。2018 年 10 月 17 日撮影。

図 1 焼きいもの食味官能評価(茨城県農業総合センター農業研究所) 注)16 名のパネラーによる 5 段階評価の平均値。 食感:悪い(1)~大変良い(5)、肉質:粉質(1)~粘質(5)、甘さ:弱い(1)~大変強い(5)、 総合評価:悪い(1)~大変良い(5)。試験実施日は、2016 年 12 月 21 日。

図 2 蒸しいも糖度の平均値 注)2009 年~2011 年、2013 年~2017 年に標準栽培したもの。

図 3 焼きいも糖度の平均値 注)2009 年~2011 年、2013 年~2017 年に標準栽培したもの。 収穫後、約 4 カ月貯蔵した後に試験を実施。

注) 九州沖縄農業研究センター都城研究拠点(宮崎県都城市)で、 2009~2011 年、2013~2017 年に実施した試験の平均値。 上いもとは、重さ 50g 以上のいも。

1202農芸化学
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