2022-09-22 京都大学
現在の情報化社会(Society 4.0)に続く、サイバー(仮想)空間とフィジカル(現実)空間の融合によって実現する超スマート社会(Society 5.0)のあり方が議論され、さらにその先にあるスマートだけでは実現されない幸せな社会(ビヨンド・スマートライフ参考1)に向けた技術開発が進んでいます。
加藤猛 オープンイノベーション機構特定准教授は、日立京大ラボ(工藤泰幸 日立製作所研究開発グループ基礎研究センタ 日立京大ラボ主任研究員、宮越純一 同主任研究員、大輪美沙 同研究員、朝康博 同研究員、沼田崇志 同研究員、嶺竜治 同主任研究員、水野弘之 同主管研究長)の研究グループと共同で、多様な個人の自由と連帯を両立させる「混生社会」を目指して、サイバーと人間社会が互いに協同するCyber-Human Social System(CHSS)という新しいコンセプトを提案しました。この概念は、これまでのCyber-Physcal System(CPS)をより強化するものです。
CHSSは、CPSに人間社会の仕組みを取り入れて個人の向社会的行動を促進し、集団の合意形成を支援することで、従来の人間を機械のように扱ってきたCPSを発展させるものです。今回研究グループは、CHSSの概念を具現化する基本設計(アーキテクチャ)として、サイバーと人間社会を融合したCyber-Human Social Co-Operating System(Social Co-OS)を開発しました。このアーキテクチャでは、サイバーと人間社会がファストループ(運用・行政)とスローループ(合議・政治)を介して協同します。Social Co-OSの基本機能は、ファストループにおける個人の行動診断と介入、スローループにおける集団の意思診断と合意形成で構成されています。なお、このシステムにより、将来的には相互扶助コミュニティやプラットフォーム協同組合の形成と円滑な運営に貢献することが期待されます。
本研究成果は、2022年9月17日に、国際学術誌「IET Cyber-Physical Systems: Theory & Applications」にオンライン掲載されました。
イメージ画像(提供:Adobe Stock)
研究者のコメント
「本研究成果は、京都大学と日立製作所の文理融合・産学連携研究から生まれたものです。哲学、社会心理学、社会構想に関するご助言をいただきながら、情報システムの学術分野において新たにCyber-Human Social SystemのコンセプトとSocial Co-Operating Systemのアーキテクチャを世に問えたことを大変うれしく思います。」(日立京大ラボ一同)
研究者情報
研究者名:加藤 猛