β線とγ線を同時に識別測定できる新型サーベイメータを開発

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2022-05-10 東芝エネルギーシステムズ株式会社,東芝電力放射線テクノサービス株式会社

東芝エネルギーシステムズ株式会社及び東芝電力放射線テクノサービス株式会社(以下、東芝グループ)は、β線とγ線が混在する環境下で、それらを同時に識別して線量率として測定できる新型サーベイメータを世界に先駆けて開発いたしました。本日、商品として予約受付を開始いたしました。

福島第一原子力発電所の廃炉作業現場では、γ線はもとよりβ線の線量率も高い状況にあり、それに応じた放射線管理が行われてきました。2021年4月には改正電離則*1が施行され、眼の水晶体被ばくの重大性に関する知見に基づき、職業人(放射線業務従事者)に対する眼の水晶体の等価線量限度が大幅に引き下げられました。眼の水晶体の等価線量については、作業環境におけるβ線線量率の寄与が大きく、β線を含めた環境線量率の把握の重要性はますます高くなっています。

従来、β線とγ線が混在する場におけるβ線線量率の評価は、β線とγ線透過力の差を利用した2回測定の差分から行っていました。本測定方法では、測定者自身の被ばく、差分評価の誤差など課題も多く、簡便な方法でより信頼性の高いβ線線量率の測定技術開発が望まれていました。
東芝グループは、この度、多層構造を持つシンチレーション検出器*2を新たに考案し、信号処理回路やディジタル信号処理アルゴリズムを開発しました。これにより従来、技術的に困難であったβ線とγ線の識別分離を実現し、1回の測定でそれぞれの線量率を測定できるサーベイメータを製品化しました。

本製品では、γ線の1㎝線量当量率、β線の3㎜線量当量率、70μm線量当量率を同時に測定できると共に、β線放出核種のホットスポットを見つけやすくなるほか、作業環境を迅速・的確に把握し、被ばく低減を軸とした放射線管理ができるようになり、測定作業に伴うさまざまな負担を大幅に低減できます。
また、今回開発した技術は既存の原子力発電所におけるβ線とγ線が混在する場に対しても適用可能であり、高いγ線バックグラウンド下でのβ線放出核種の汚染計測などに応用することができます。

東芝グループは、放射線管理上の課題解決と、放射線管理の更なる高度化を通じて、原子力発電所で働く人々の放射線安全向上に寄与して参ります。

主な仕様

定レンジ β線:100μSv/h~2 Sv/h
レンジ切り替え不要
測定上限は単独測定の時の値
γ線:10μSv/h~200 mSv/h
レンジ切り替え不要
測定上限は単独測定の時の値
規格 JIS Z 4333:2014準拠、及び本機特有のβ/γ弁別機能を追加
機能 H*(10), H’(0.07), H’(3)
同時独立評価機能、計数/計数率計モード、時定数一定/統計精度一定モード
電源 充電バッテリー(交換可能)
外形 140㎜(W)×330㎜(D)×165㎜(H)
重量 2.5㎏

*1 電離放射線障害防止規則(電離則)

*2 放射線の入射により光を放出する物質(シンチレータ)を組み合わせた放射線検出素子

製品外観

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2005放射線防護
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