2022-05-06 京都大学
令和2年4月に防災研究所は、全国の感染症指定医療機関のうち、千年に1度レベルの大豪雨で34%が、100~200年に1度レベルでも26%が浸水被害を受けるという調査結果を公表しました。同年7月豪雨による熊本県の球磨川の氾濫では、災害拠点病院でもある人吉医療センターが実際に洪水被害を受け、発災前後の災害対応に多くの課題が顕在化しました。そこで、角哲也 防災研究所教授、佐山敬洋 同准教授、清水建設株式会社(代表取締役社長 井上和幸)、独立行政法人 地域医療機能推進機構 人吉医療センター(病院長 木村正美)は共同で、工学(土木・建築)と医療現場の知見を連携させ、「水害対策タイムライン防災計画」を策定し、2022年5月6日に人吉医療センターで防災訓練を行い、その有効性を検証します。
タイムラインの計画策定にあたっては、病院の建築・設備の実態に基づき水害リスクを評価し、それをベースに必要な災害対応業務と実施判断基準(トリガー)、および担当者間の連携方法を整理し、7段階の災害ステージに合わせて時系列的に順次実行する計画になっています。最も重要な実施判断には、公開気象情報に加えて、防災研究所が内閣府SIP(戦略的イノベーション創造ブログラム)の一環として開発してきた「全国版RRIモデル」のデータを活用しており、今後、病院の水害タイムライン防災計画のモデルとなることが期待されます。
(上図)水害タイムラインの7段階ステージとトリガー項目(下図)「全国版RRIモデル」のシステム画面イメージ(令和2年7月豪雨時の再現計算)
研究者情報
研究者名:角 哲也
研究者名:佐山 敬洋