2021年11月の地震活動の評価+補足(12 月1日以降の地震活動)

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2021-12-09 地震調査研究推進本部,地震調査委員会

2021年11月の地震活動の評価+補足(12 月1日以降の地震活動)

1.主な地震活動
目立った活動はなかった。

2.各領域別の地震活動
(1)北海道地方
目立った活動はなかった。

(2)東北地方
○ 11 月9日に福島県中通りの深さ約5㎞でマグニチュード(M)4.9 の地震が発生した。この地震の発震機構は北北東-南南西方向に張力軸を持つ正断層型で、地殻内で発生した地震である。

(3)関東・中部地方
○ 2018 年頃から地震回数が増加傾向にあった石川県能登地方の地殻内では、 2020 年 12 月から地震活動が活発になっており、2021 年7月頃からさらに活発になっている。最大の地震は、2021 年9月 16 日に発生した M5.1 の地震である。 11 月以降も、11 月5日に M4.0 の地震が発生するなど、活発な地震活動は継続している。2020 年 12 月1日から 2021 年 12 月5日までに震度1以上を観測する地震が 63 回、このうち 11 月1日から 12 月5日までに 12 回発生した。GNSS観測の結果によると、2020 年 12 月頃から、石川県能登町の能都(のと)観測点が南南西に1cm 程度の移動、及び珠洲(すず)市の珠洲観測点が3cm 程度の隆起などの地殻変動が、能登半島で観測されている。これまでの地震活動及び地殻変動の状況を踏まえると、一連の地震活動は当分続くと考えられる。
○ 11 月1日に茨城県北部の深さ約 55 ㎞で M5.3 の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 11 月 20 日に東京都多摩東部(*1)の深さ約 100 ㎞で M4.6 の地震が発生した。この地震の発震機構は北西-南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。
○ 11 月 29 日に鳥島近海の深さ約 10 ㎞(CMT 解による)で M6.4 の地震が発生した。この地震の発震機構は東北東-西南西方向に張力軸を持つ正断層型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

(4)近畿・中国・四国
地方目立った活動はなかった。

(5)九州・沖縄地方
○ 11 月 11 日に宮古島近海(*2)の深さ約 20 ㎞(CMT 解による)で M6.5 の地震が発生した。この地震の発震機構は南北方向に張力軸を持つ正断層型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。

(6)南海トラフ周辺
○ 南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない。

補足(12 月1日以降の地震活動)
○ 12 月2日に茨城県南部の深さ約 65 ㎞で M5.1 の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西-東南東方向に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。○ 12 月3日 06 時 37 分に山梨県東部・富士五湖の深さ約 20 ㎞で M4.8 の地震が発生した。この地震により山梨県で最大震度5弱を観測した。この地震の発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。また、この地震の震源付近では、同日 02 時 17 分に M4.1 の地震が発生していた。GNSS観測の結果によると、今回の地震に伴う有意な地殻変動は観測されていない。この付近は、フィリピン海プレートが陸側のプレートに衝突する地域になっており、1983 年に M6.0 の地震が発生するなど、M5.0 以上の地震が時々発生している。2012 年1月 28 日には M4.9 の地震の発生直後に M5.4 の地震が発生した。揺れの強かった地域では、地震発生後1週間程度、最大震度5弱程度の地震に注意が必要である。○ 12 月3日に紀伊水道の深さ約 20 ㎞で M 5.4 の地震が発生した。この地震により和歌山県で最大震度5弱を観測した。この地震の発震機構は北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内で発生した地震である。GNSS観測の結果によると、今回の地震に伴う有意な地殻変動は観測されていない。揺れの強かった地域では、地震発生後1週間程度、最大震度5弱程度の地震に注意が必要である。

○ 12 月9日にトカラ列島近海(小宝島付近)の深さ約 20 ㎞で M6.0(速報値)の地震が発生した。この地震により、鹿児島県(十島村)で最大震度5強を観測した。この地震の発震機構は北西-南東方向に張力軸を持つ正断層型(速報値)で、陸のプレート内で発生した地震である。トカラ列島近海では、12 月4日から地震活動が活発になっており、9日 12 時までに震度1以上を観測する地震が 233 回、このうち震度3以上を観測する地震が 16 回発生するなど、地震活動は継続している。
今回の地震活動域付近は、過去にも活発な地震活動が継続したことがある地域である。2000 年 10 月の活動では、10 月2日に M5.9 の地震が発生し最大震度5強を観測する他、震度5弱を観測する地震が2回発生した。また、最近では、2021 年4月にも活発な活動があり、4月 10 日と 12 日に M5.3 の地震が発生するなど、4月9日から 30 日までに震度1以上を観測する地震が 265 回発生した。
この地域では、当分の間、最大震度5強程度の地震に注意が必要である。

*1:気象庁が情報発表で用いた震央地域名は「東京都 23 区」である。
*2:気象庁が情報発表で用いた震央地域名は「沖縄本島南方沖」である。注:GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称である。

詳しい資料は≫

1702地球物理及び地球化学
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