2021-12-06 東京大学,自然科学研究機構,科学技術振興機構
ポイント
- TESS宇宙望遠鏡と地上望遠鏡の連携により、太陽系の近傍に地球の1.7倍の大きさを持つ惑星「TOI-2285b」を発見した。
- 惑星は比較的弱い日射を主星から受けており、惑星の組成によっては惑星表面に液体の水が存在する可能性もある。
- 主星が明るいため、今後惑星の質量や大気組成を調べることが可能である。
東京大学および自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンターの研究者を中心とする研究チームは、系外惑星探索衛星TESSと地上望遠鏡の連携により、太陽系の近傍(138光年先)に新たな系外惑星「TOI-2285b」を発見しました。この惑星は地球の約1.7倍の大きさ(半径)を持ち、また、地球が太陽から受ける日射量の約1.5倍という、これまでに発見された系外惑星の大半より弱い日射を主星から受けています。惑星は地球よりやや高温の環境を持つと考えられますが、もし仮に惑星が内部にH2Oの層を持ち、かつ水素を主体とする大気を持っていれば、惑星の表面に液体の水が存在する可能性もあります。主星が明るく詳細な追観測が可能なため、今後惑星の質量や大気組成を調べることで、惑星の内部組成についてより詳細な情報を得ることができると期待されます。
本研究成果は、2021年12月6日に日本の学術誌「Publications of the Astronomical Society of Japan」のオンライン版に掲載されました。
本研究は、科研費 新学術領域計画研究「惑星大気の形成・進化とその多様性の解明」(研究代表者:生駒 大洋、課題番号:JP18H05439)、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ 研究領域「計測技術と高度情報処理の融合によるインテリジェント計測・解析手法の開発と応用」における研究課題「多色同時撮像観測と高精度解析による第二の地球たちの探査」(研究者:成田 憲保、課題番号:JPMJPR1775)、科研費 基盤研究B「太陽系近傍の小型トランジット系外惑星の発見と大気の系統的調査」(研究代表者:福井 暁彦、課題番号:JP17H04574)、自然科学研究機構アストロバイオロジーセンターのプロジェクト「TESSで発見された生命居住可能惑星候補の発見確認と特徴付け」(研究代表者:成田 憲保、課題番号:AB031010)の支援を受けています。
<論文タイトル>
- “TOI-2285b: A 1.7 Earth-radius Planet Near the Habitable Zone around a Nearby M Dwarf”
- DOI:10.1093/pasj/psab106
<お問い合わせ先>
<研究に関すること>
福井 暁彦(フクイ アキヒコ)
東京大学 大学院総合文化研究科 附属先進科学研究機構 特任助教
成田 憲保(ナリタ ノリオ)
東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻・附属先進科学研究機構 教授
<JST事業に関すること>
嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ
<報道担当>
東京大学 教養学部等総務課 広報・情報企画チーム
科学技術振興機構 広報課