宇宙線のミュオンと中性子が引き起こす半導体ソフトエラーの違いを解明

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2021-07-16 京都大学

田中浩基 複合原子力科学研究所准教授は、株式会社ソシオネクスト、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所、大阪大学と共同で、大強度陽子加速器施設(J-PARC)物質・生命科学実験施設(MLF)ミュオン科学実験施設(MUSE)の負および正ミュオンビーム、本学研究用原子炉(KUR)の熱中性子ビーム、大阪大学 核物理研究センター(RCNP)の高エネルギー中性子ビームをそれぞれ半導体デバイスに照射することにより、ミュオンと中性子が引き起こすソフトエラーの特徴が異なることを実験的に初めて明らかにしました。

今回、複数の量子ビームを用いることにより、環境放射線に含まれる宇宙線由来のミュオン・中性子の影響を包括的に測定することを実現しました。本成果は、環境放射線によるソフトエラーに対する効果的な評価・対策技術の構築に発展すると考えられます。これにより、将来のスマートシティやMobility as a Service(MaaS)の社会基盤を支える、安心・安全で信頼できる半導体デバイスの創出につながることが期待されます。

本研究成果は、2021年5月21日に、国際学術誌「IEEE Transactions on Nuclear Science」のオンライン版に掲載されました。

宇宙線のミュオンと中性子が引き起こす半導体ソフトエラーの違いを解明図:ソフトエラー発生確率(左)と複数ビットエラー発生割合(右)の電源電圧依存性。正ミュオンのソフトエラー発生確率は、中性子に比べて電源電圧依存性が急峻であることがわかります。また、負ミュオンの複数ビットエラー発生割合は、高エネルギー中性子と熱中性子の中間程度であることがわかります。なお、負ミュオン・正ミュオンの実験は、ソフトエラー発生確率が最大となるエネルギー条件(ミュオンの照射効果の影響が大きい条件) で実施されました。

> 詳しい研究内容

2004放射線利用
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