「理想の水素原子」で未知の物理現象を探索するミュオニウムのマイクロ波分光実験がスタート

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2021-04-16 高エネルギー加速器研究機構,J-PARCセンター,理化学研究所,東京大学 大学院理学系研究科,東京大学 大学院総合文化研究科

実験装置と測定原理

 

概要

高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所の神田聡太郎助教(研究当時は理化学研究所 基礎科学特別研究員)、下村浩一郎教授らのグループは、KEK素粒子原子核研究所、理化学研究所、東京大学などと共同で、大強度陽子加速器施設(J-PARC) 物質・生命科学実験施設(MLF)ミュオン科学研究施設(MUSE)の大強度のパルス状ミュオンビームを用いてミュオニウム原子の基底状態における超微細構造をマイクロ波分光することに成功しました。ミュオニウムは正電荷ミュオンと電子からなる水素に似た原子で、その超微細構造を精密に測定すれば量子電磁力学をはじめとする素粒子物理学の標準模型をきわめて高い精度で検証できます。今回の実験によって、1999年に米国ロスアラモス国立研究所で得られた世界記録を10倍以上更新できる見通しが得られました。

本研究成果のポイント

◆J-PARCの大強度パルスミュオンビームを用いて、「理想の水素原子」ミュオニウムのエネルギー状態を詳細に分析することに成功

◆パルスビームが瞬間的にもたらす多数の粒子を過不足なく数えるための陽電子検出器の開発が、測定精度向上に貢献

◆建設中の新ビームラインにおける実験が実現すれば、エネルギー測定精度の世界記録を10倍以上更新できる見込み

詳しい資料は≫

1701物理及び化学
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