NTU シンガポールの研究者らが従来の 1/1000 サイズの量子通信チップを開発

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(NTU Singapore researchers develop quantum communication chip 1,000 times smaller than current setups)

2019/10/31  シンガポール・ 南洋(ナンヤン) 理工大学(NTU)

・ NTUが、現行の1/1000のサイズで同等の優れたセキュリティーを提供する量子通信チップを開発。 シリコンのような標準的な工業用材料を使用するためコスト効果的な上、製造も容易。
・ ATM からの現金引き出しからスマートフォンでのオンラインショッピングまで、現在の安全な通信技 術のセキュリティー規格では量子技術を利用しておらず、PIN(暗証番号)やパスワードの電送では通 信傍受の危険性が懸念される。
・ サイズが約 3mm の同チップは、量子通信アルゴリズムを使用して現行規格を上回る優れたセキュ リティーを提供。送信する情報にパスワードを埋め込んで、傍受の危険性のない「量子鍵」を形成し、 受信後に情報は鍵と共に破壊されるので、極めて安全な通信を実現する。 ・ また、設置に要するスペースも冷蔵庫ほどの大きさにもなる現行の量子通信設備の 1/1000。スマ ートフォン、タブレットやスマートウォッチ等のコンパクトなデバイスで利用できる、安全な通信技術の 可能性を拓くとと共に、オンライントランザクション処理や電子通信に向けた、優れた暗号技術の基盤を構築する。
・ Google や IBM 等が開発を競い合う量子コンピューターは、想像を超える速度のコンピューティング 技術をもらたすもの。量子技術で最も期待されている強みの一つは、秘匿通信技術である暗号化。
・ WhatsApp や Facebook、Skype 等のインターネットサービスの普及に伴い、それら独自のセキュアな 通信路である「古典チャネル」が創出されている。
・ 対照的に、「量子チャネル」は暗号化したデータに組み込まれたセキュリティープロトコルを有する。 各チャネルはそれぞれ異なっており、送信中の情報傍受や漏洩の危険性を低減・排除。量子技術で は、「古典チャネル」で必須のパスワードや生体データの送信が不要なため、情報の傍受や漏洩の危 険性を排除し、解読がほぼ不可能な暗号化ができる。
・ 今回開発の量子通信チップは、通信セキュリティの未来であり、量子コンピューティングや量子通信 の実現をさらに近づけるもの。次世代通信デバイス開発の端緒を開くとともに、銀行によるオンライン のファイナンシャル・ポータルや、政府によるデジタルサービス等を強化すると考える。
・ 同大学は現在、従来の光通信システムと量子通信システムを組合せたハイブリッドネットワークを 開発中。インターネットコネクティビティ等、様々なアプリケーションで利用可能な量子技術の適合性の 向上を見込む。
URL: https://media.ntu.edu.sg/NewsReleases/Pages/newsdetail.aspx?news=99a830a8-a8d3-403f9a40-06afac717582

(関連情報)
Nature Photonics 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
An integrated silicon photonic chip platform for continuous-variable quantum key distribution
URL: https://www.nature.com/articles/s41566-019-0504-5

<NEDO海外技術情報より>

Abstract

Quantum key distribution (QKD) is a quantum communication technology that promises unconditional communication security. High-performance and cost-effective QKD systems are essential for the establishment of quantum communication networks1,2,3. By integrating all the optical components (except the laser source) on a silicon photonic chip, we have realized a stable, miniaturized and low-cost system for continuous-variable QKD (CV-QKD) that is compatible with the existing fibre optical communication infrastructure4. Here, the integrated silicon photonic chip is demonstrated for CV-QKD. It implements the widely studied Gaussian-modulated coherent state protocol that encodes continuous distributed information on the quadrature of laser light5,6. Our proof-of-principle chip-based CV-QKD system is capable of producing a secret key rate of 0.14 kbps (under collective attack) over a simulated distance of 100 km in fibre, offering new possibilities for low-cost, scalable and portable quantum networks.