平成31年4月の地殻変動

2019-05-152020-08-12

2019-05-14 国土地理院

　別紙１～７は、国土地理院が全国に展開している電子基準点等のＧＮＳＳ連続観測網（ＧＥＯＮＥＴ）の観測結果から求めた2019年３月中旬から2019年４月中旬までの１か月間の地殻変動を表したものです。東日本の広い範囲で、平成23年（2011年）東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。

　火山周辺では、硫黄島において継続的な地殻変動が見られます。

九州北部・四国西部では、それまでの傾向とは異なる地殻変動が検出されています。この変動は、豊後水道周辺のフィリピン海プレートと陸のプレートの境界深部における長期的ゆっくりすべり（スロースリップ現象）によるものと推定されます。（別紙８）
吾妻山周辺で見られていた膨張を示す地殻変動は、2019年４月頃からやや鈍化しつつも、継続しています。（別紙９）
草津白根山周辺では、顕著な地殻変動は観測されていません。（別紙10）
硫黄島では、「硫黄島１」及び「Ｍ硫黄島Ａ」では隆起、「硫黄島２」は南向きの変動が継続しています。（別紙11）
阿蘇山周辺では、2019年４月上旬頃から、阿蘇山を取り囲む基線にわずかな伸びが見られましたが、４月下旬以降はやや鈍化しています。（別紙12）
霧島山周辺では、霧島山を挟む基線での伸びは、2019年２月以降停滞しています。（別紙13）
桜島周辺では、鹿児島（錦江）湾を挟む基線で「鹿児島福山」－「隼人」等でわずかな伸びが見られます。桜島島内の基線では、停滞又はわずかな縮みが見られます。（別紙14）
口永良部島では、顕著な地殻変動は観測されていません。（別紙15）

※５月10日に発生した日向灘の地震（M6.3）に伴い、小さな地殻変動が観測されました。ＧＮＳＳ観測によると宮崎県宮崎市の佐土原（さどわら）観測点が東南東方向に約１cm（暫定値）移動するなどの地殻変動が観測されました。（別紙16）

全国の１年間の地殻変動（2018年４月中旬から2019年４月中旬まで、別紙17）からは、以下のような傾向が見られます。
- 東北から関東・中部までの広い範囲で、平成23年（2011年）東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。
- 平成30年北海道胆振東部地震に伴う地殻変動が見られます。
- 硫黄島では、島内の地殻変動が見られます。
- その他の地方では、プレート運動による定常的な地殻変動が見られます。

国土交通省国土地理院
地理地殻活動研究センター　　地殻変動研究室長　　矢来 博司　　　
測地観測センター　　　　　　地殻監視課長　　　　真野 宏邦　　　　
測地観測センター　　　　　　地震調査官　　　　　黒石 裕樹