列車が曲線を通過中に軌間が大きく拡大したため、列車が脱線した事故

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鉄道事故調査報告書〔概要版〕

2018/06/28  国土交通省 運輸安全委員会

~ 列車が曲線を通過中に軌間が大きく拡大したため、列車が脱線した事故 ~

鉄道事業者名:わたらせ渓谷鐵道株式会社
事 故 種 類:列車脱線事故
発 生 日 時:平成29年5月22日 14時59分ごろ
発 生 場 所:群馬県桐生市
わたらせ渓谷線 花 はな 輪 わ 駅~水沼 みずぬま 駅間(単線)
下新田 しもしんでん 信号場起点16k029m付近

<概要>
わたらせ渓谷鐵道株式会社わたらせ渓谷線間藤駅発桐生駅行き3両編成の上り第試9792D列車(電 気・軌道総合検測車)の運転士は、平成29年5月22 日、14時59分ごろ、花輪駅~水沼駅間の半径160 mの右曲線を速度約36km/hで通過した直後に衝撃を感じ、非常ブレーキを使用して列車を停止させた。
停車後に確認したところ、2両目の前台車全軸が左へ脱線していた。 列車には、乗務員、施設担当者等7名が乗車していたが、負傷者はいなかった。

<脱線の状況>

<原因>
本事故は、列車(電気・軌道総合検測車)が半径160mの右曲線を通過中に、軌間が大きく拡大したため、2両目前台車第1軸の右車輪が軌間内に落下し、軌間を広げながら走行した後、左車輪のフランジが左レール(外軌)に乗り上がり、左に脱輪したことによるものと考えられる。
軌間が大きく拡大したことについては、同曲線中で、まくらぎやレール締結装置の不良が連続していたことにより、列車走行時の横圧によるレール小返り等で軌間が拡大したことによるものと考えられる。
なお、脱線に至るような大きな軌間の拡大が発生したことについては、定期検査等でまくらぎ及びレール締結装置の連続した不良による軌間変位の拡大に対する危険性を十分に把握できず、それに応じた軌道整備が行われていなかったこと、また、本事故発生直前に軌道検測車で測定された軌間変位が著大であったにもかかわらず、適切な運転規制や軌道整備が行われなかったことが関与した可能性があると考えられる。

<再発防止策>

(1) 軌道整備の着実な実施

  まくらぎ検査時や線路の巡視時等において、まくらぎの腐食や犬くぎ浮き等を確認し、状況に応じて犬くぎの打ち換えや増し打ち、まくらぎ交換、ゲージタイ(軌間保持金具)の設置等を実施する必要があり、それらを着実に行えるように管理体制を整備しておくことが望ましい。
なお、まくらぎの腐食や犬くぎ浮き等が、連続的に発生している場合やスラ ックの大きい急曲線で発生している場合は、軌間内脱線に対する危険性が特に増加するため、優先して整備を行うよう配慮する必要がある。

(2) まくらぎの材質の変更

   まくらぎは、木まくらぎよりも耐久性、保守の容易性が優れているコンクリ ート製等のまくらぎに交換(数本に1本の割合で置き換える部分交換を含む。)していくことが望ましい。

(3) 軌道変位の整備基準値等の取扱い

   軌道変位の整備基準値は、超過した場合の整備期限等を定め、着実に軌道整備を行うことが望ましい。また、軌道検測により軌道変位の著大値が認められた場合の運転規制や軌道整備等に関する取扱いを定め、確実に履行することが望 ましい。

 

http://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/rep-acci/RA2018-4-1.pdf

http://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/p-pdf/RA2018-4-1-p.pdf

 

 

 

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