AIを活用したバイオ生産管理システムの開発を開始

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AIによる微生物培養手法の最適化で、培養効率の大幅な向上を目指す

2019-09-06 新エネルギー・産業技術総合開発機構

NEDOの「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」で(株)ちとせ研究所は、食品や化学などのさまざまな業界における生物資源を活用した生産(バイオ生産)現場に適用可能な業界横断型人工知能(AI)システムと、そこで収集したデータを効果的に活用するための業界共用データ基盤の開発を開始します。

本事業では、従来バイオ生産現場で活用されていなかった光学系や電気化学系などのセンサーデータと、生物資源を有価物に変換するための培養技術との相関関係を見出すために、業界規模でデータを集積・共有するためのデータ基盤システムを構築します。それを元に、人間の経験と勘では従来不可能だった最適な培養手法を予測するAIシステムを開発し、培養効率を格段に引き上げる手法の確立を目指します。

本事業を通じて、バイオエコノミー市場に生産マネジメント共通基盤を提供し、生産効率向上に有効なデータを共通化することで、市場の拡大に貢献します。

本事業で構築される生産マネジメント共通基盤のイメージ図

図 本事業で構築される生産マネジメント共通基盤のイメージ

1.概要

政府は、「Society 5.0※1」を実現するため、IoTやAIなどさまざまなテクノロジーによって新たな付加価値の創出や社会課題の解決をもたらすべく、「Connected Industries※2」政策を推進しています。「Connected Industries」重点5分野※3の一つであるバイオ・素材分野では、バイオ生産現場において旧来からの職人技に頼ることが多く、人工知能(AI)を用いた人の制御を超える生産マネジメントシステムの構築が期待されています。また、経済協力開発機構(OECD)は、バイオテクノロジーが経済生産に大きく貢献できる市場として「バイオエコノミー※4」という考え方を提唱し、2030年にはバイオエコノミーは全GDPの2.7%(約200兆円、OECD加盟国)規模に成長すると予測しています。

国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、今年度から3年間の計画で、AIシステムとデータ基盤が一体となったAI・データエコシステムの成功事例を創出し、幅広いデータ連携による価値の創出を促進することを目的に「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」を推進しています。

本事業の助成先である株式会社ちとせ研究所は、食品や化学などさまざまな業界におけるバイオ生産現場に適用可能な業界横断型AIシステムと業界共用データ基盤を開発する「コンボリューショナルデータ※5を活用したバイオ生産マネジメント事業」を開始します。

本事業では、従来用いられていない多種で複雑なセンサー由来のデータと、バイオ生産を効率的に行うための指標との相関関係を見出すために、業界規模でデータを集積・共有するためのデータ基盤システムを構築した上で、それを元に、人間の経験と勘では従来不可能であった最適な培養手法を予測するAIシステムを開発し、培養効率を格段に引き上げる手法の確立を目指します。

本事業を通じて(株)ちとせ研究所は、下記共同・委託研究先8社とバイオ生産マネジメントシステム実現に向け、データ基盤システムの運用、利便性の向上、リアルタイムの情報共有を行い、課題の抽出、改善を通じて、バイオエコノミー市場に生産マネジメント共通基盤を提供し、生産効率向上に有効なデータを共通化することで市場の拡大に貢献します。

2.採択テーマと助成先
事業名:
Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業/業界横断型AIシステムと業界共用データ基盤の連携開発/コンボリューショナルデータを活用したバイオ生産マネジメント事業
助成先:
株式会社ちとせ研究所
共同・委託研究先(協力分野):
味の素株式会社(食品)

協和発酵バイオ株式会社(食品・医薬品)

三井化学株式会社(化学品)

株式会社カネカ(化学品・医薬品)

NRIシステムテクノ株式会社(システム)

株式会社ニコンインステック(デバイス)

国立大学法人長岡技術科学大学(データ取得開発)

国立大学法人東京大学(データ解析)

事業期間:
2019年度から最長2021年度
【注釈】
※1 Society 5.0
第5期科学技術基本計画(2016年1月22日閣議決定)において、日本が目指すべき未来社会の姿として提唱された概念で、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続くものとして、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、社会課題の早期解決と新産業の創出を両立する新たな社会を指します。
※2 Connected Industries
「モノとモノ」「人と機械」「人と技術」「企業と企業」「人と人」「生産者と消費者」など、国境や世代を超えたさまざまなつながりに よって新たな付加価値を生み出していく産業社会を指しています。
※3 「Connected Industries」重点5分野
自動走行・モビリティサービス、ものづくり・ロボティクス、バイオ・素材、プラント・インフラ保安、スマートライフの5分野です。
※4 バイオエコノミー
経済協力開発機構(OECD)が提唱した、バイオテクノロジーと経済活動を一体化した概念です。バイオ資源そのものの利用だけでなく生体や生体高分子の機能の活用などの生物資源やテクノロジーを用いて、地球規模の課題の解決と経済発展の共存を目指す考え方です。
※5 コンボリューショナルデータ
バイオ生産の効率と相関関係を示す測定項目を同定するために、秒単位で経時的に測定するさまざまなセンサー由来のデータです。
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO IoT推進部 担当:藤田、大宮、工藤

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、中里、佐藤

1600情報工学一般
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