アルマ望遠鏡で捉えた“原始ミニ太陽系”
2019-03-14 国立天文台
アルマ望遠鏡がとらえた若い星おうし座DM星のまわりの塵の円盤。 オリジナルサイズ(217KB)
アルマ望遠鏡による観測で、おうし座DM星をとりまく原始惑星系円盤の塵(ちり)の分布が、これまでにない高い解像度で捉えられました。その結果、私たちの太陽系とよく似た構造が描き出されました。
原始惑星系円盤は、恒星が生まれる時に周りに形成される、塵やガスでできた構造です。その中で、数百万年程度の時間で塵が集まり、惑星が誕生します。地球のような岩石惑星は、中心星のすぐ近くで形成されると考えられていますが、形成現場の見かけは小さくて観測は難しく、塵の分布に関する情報は乏しい状況が続いていました。
国立天文台ハワイ観測所の工藤智幸研究員を中心とする国際研究チームは、地球からの距離が470光年の近くて若い星「おうし座DM星」を、アルマ望遠鏡を用いて観測しました。その結果、太陽と地球の距離の3倍程度のところに塵のリングがあることがわかりました。これは太陽系の小惑星帯の距離にあたります。さらに遠くにも塵のリングや分布が見つかり、太陽系と同じような構造が描き出されたのです。
私たちの太陽系に似た姿の惑星系はあるのか、という疑問に、ひとつの答えが得られました。今後、おうし座DM星をさらに詳細に観測したり、別の惑星系の観測を進めたりすることで、太陽系のような惑星系がどれくらいの割合で存在するか、解き明かされていくことでしょう。
アルマ望遠鏡による観測をもとにした、おうし座HL星の想像図。星のまわりに2重の塵の円盤があることがわかりました。オリジナルサイズ(7.2MB)