イオンペア集合化によって固体常温りん光強度を増大~固体の発光強度を向上させる手法として応用が期待~

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2024-01-24 京都大学

近年、多彩な電子・光物性を示すπ電子系を用いた固体発光性材料の開発が幅広く進んでいます。発光性π電子系は固体状態では互いに積層し、消光することが固体発光性材料創製において深刻な問題となります。

佐藤徹 福井謙一記念研究センター教授らの研究チームは、前田大光 立命館大学教授と羽毛田洋平 同講師らの研究チーム、藤内謙光 大阪大学教授らの研究チーム、株式会社MOLFEX、高輝度光科学研究センターと共同で、アニオン会合能を有するπ電子系PtII錯体を新たに合成し、導入したπ電子系配位子の種類に依存したりん光波長の変化を明らかにしました。π電子系PtII錯体は固体状態では積層構造を形成するため消光しますが、π電子系PtII錯体–アニオン会合体と対カチオンからなる固体状態のイオンペア集合体ではりん光強度が増大することを見出しました。固体状態ではπ電子系PtII錯体–アニオン会合体と対カチオンが交互に配列した組織構造を形成し、PtII錯体の積層が回避されることからりん光強度が増大することを、X線構造解析および理論計算を用いた集合体の発光物性の評価から明らかにしました。本研究はイオンペア集合体を用いた固体常温りん光のはじめての例であり、π電子系を用いた発光性材料創製に応用できる方法として期待されます。

本研究成果は、2023年12月5日に、国際学術誌「Chemical Science」に掲載されました。

イオンペア集合化によって固体常温りん光強度を増大~固体の発光強度を向上させる手法として応用が期待~発光性π電子系(上)と固体状態における消光(左下)およびイオンペア集合化による発光増大(右下)の概念図

詳しい研究内容について

イオンペア集合化によって固体常温りん光強度を増大~固体の発光強度を向上させる手法として応用が期待~

研究者情報

研究者名:佐藤 徹

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1039/D3SC04564A

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/286771

【書誌情報】
Yohei Haketa, Kaifu Komatsu, Hiroi Sei, Hiroki Imoba, Wataru Ota, Tohru Sato, Yu Murakami, Hiroki Tanaka, Nobuhiro Yasuda, Norimitsu Tohnai, Hiromitsu Maeda (2024). Enhanced solid-state phosphorescence of organoplatinum π-systems by ion-pairing assembly. Chemical Science, 15(3), 964-973.

1700応用理学一般
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