2022-11-16 京都大学
図1 東北地方太平洋沖地震後の震源断層直下の応力状態。応力計測用のASRコア試料(左)は海底下深度約828 m(プレート境界断層の深度より約8 m深く)から採取されたもので、円柱表面に貼ってある赤茶色のものはひずみ測定用のセンサーである。図中のNAPは北米プレート(North American Plate)の略である。
都市社会工学専攻の 林為人 教授、高知大学の山本裕二 教授、海洋研究開発機構高知コア研究所 廣瀬丈洋 所長らの共同研究グループは、統合国際深海掘削計画(IODP)における地球深部探査船「ちきゅう」の第343次研究航海(東北地方太平洋沖地震調査掘削)で採取された岩石コア試料から、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の震源断層であるプレート境界断層より以深の地層にかかる応力(物体の内部に生じる力)を計測することに初めて成功しました。その結果、東北地方太平洋沖地震後のプレート境界断層の直上と直下では、差応力(最大水平主応力と最小水平主応力の差)がともに小さく、地震前までに蓄積されていた力がほぼ完全に解放されたことを明らかにしました。
本論文は、2022年11月9日、国際科学誌「Earth and Planetary Science Letters」にオンライン掲載されました。
研究者情報
林為人
書誌情報
タイトル
Three-dimensional stress state above and below the plate boundary fault after the 2011 Mw 9.0 Tohoku earthquake
(2011年に発生したマグニチュード9の東北地震後におけるプレート境界断層の上下両側の三次元応力状態)
著者
Weiren Lin, Yuhji Yamamoto, and Takehiro Hirose
掲載誌
Earth and Planetary Science Letters