2022-09-20 東京大学
自動運転車の社会実装に向けては多くの研究開発が行われていますが、課題の一つに、周囲の道路利用者との意思疎通の難しさが挙げられます。人間の運転する車両であれば運転者とのアイコンタクトによってある程度、運転者の意思を推測できるのに対し、自動運転者ではそのようなコミュニケーションがとれず、道路利用者が自動運転車の意図を推測することが難しいからです。
東京大学大学院情報理工学系研究科のチャン チアミン特任講師、五十嵐健夫教授を中心とした研究グループは、自動運転車に付けた「目」による視線の提示によって自動運転車の意図を周囲の道路利用者に伝えることで、安全性を向上できる可能性があることを実験によって示しました。実験では、まず実物の自動車にモーター駆動で視線を提示できる「目」を付けた実験車両を製作しました。次に、その実験車両の走行を道路横断しようとしている歩行者の視点から撮影し、それをバーチャルリアリティー環境で実験参加者に提示しました。実験の結果、車両の視線によって自動運転車の停止・非停止の意図を歩行者に伝えることで、歩行者による適切な判断を助け危険な道路横断を低減できる可能性を示しました。
【発表学会】
学会名:14th International Conference on Automotive User Interfaces and Interactive Vehicular Applications (ACM AutomotiveUI ’22), Sep 17-20, 2022, Seoul Korea,
論文タイトル:Can Eyes on a Car Reduce Traffic Accidents?
著者:Chia-Ming Chang, Koki Toda, Xinyue Gui, Stela Hanbyeol Seo, Takeo Igarashi
DOI番号:10.1145/3543174.3546841
【動画】
下記URLの動画で本研究の概要を紹介しています。
URL:https://www.youtube.com/watch?v=rvyToxdR9Dc
図a:実験参加者に提示された映像の例。
道路の向こう側に別の歩行者が立っているが、車両の視線が手前にいる実験参加者を向いているので車両が停止する意図がわかる。
図1:視線提示できる目を付与した自動運転車の実験車両。