2022-03-28 京都大学
志村智也 防災研究所准教授、森信人 同教授、宮下卓也 同助教は、米国アルゴンヌ国立研究所、気象庁気象研究所と共同研究を行い、地球温暖化による地球全体の高潮と波浪の将来変化予測を行いました。
将来の地球温暖化は、海面上昇だけでなく波浪や高潮の強度を変える可能性があります。そのため沿岸域の気候変動への適応には、一般的な海面上昇に加えて高潮と波浪の将来変化を予測することが重要です。本研究では、全球気候モデルにより再現した過去から将来にわたる連続的な気候条件にもとづき、これまで別々に評価されていた地球全体の高潮と波浪の将来変化を初めて統一的に示しました。日本を含む北西太平洋では、将来の台風の頻度が減少すると予想され、これに伴い毎年発生する規模の高潮と波高は将来減少傾向を示すことがわかりました。また、地球温暖化により台風は強化されるものの、50年に1度発生するような極端な高潮や波高の将来変化量は気候がもつ固有の自然変動量と同程度であることがわかりました。
本研究成果は、地球温暖化に伴う世界の沿岸域の脆弱性の将来変化の評価や適応策への適用が期待されます。
本研究成果は、2022年3月14日に、国際学術誌「Geophysical Research Letters」にオンライン掲載されました。
図:本研究の概要図
研究者情報
研究者名:志村智也
研究者名:森信人
研究者名:宮下卓也