2021-12-09 神戸大学,大阪大学,科学技術振興機構
ポイント
- 人工知能を用いて物理現象のモデル化(数式化)が可能となれば、シミュレーションの高精度化・高速化につながる。
- 今までの人工知能を用いた方法では、運動方程式に従うようにデータを変形して与える必要があり、運動方程式が未知であるような実際の観測データに適用することが困難であった。
- 本研究では、幾何学を応用することで、どのような形式で観測データが与えられても、そこに隠された運動方程式を見つけ、それに従ったモデル化ができる人工知能技術を開発した。
- 生態系の変化など、従来、ニュートン力学の対象ではないと思われていた現象に対して、隠された物理法則を発見できる可能性がある。
- そのような現象に対して、物理学の理論を応用した考察やシミュレーションが行えるようになり、未知の性質が解明される可能性がある。
神戸大学 大学院システム情報学研究科の谷口 隆晴 准教授、博士後期課程学生の陳 鈺涵さんと、大阪大学 大学院基礎工学研究科の松原 崇 准教授らの研究グループは、一般の観測データから、データに隠された運動方程式を抽出することで、物理学に忠実なモデルを作成する人工知能技術の開発に成功しました。
今後、この技術により、これまで力学の理論で説明できないと考えられていた現象に対して、隠された運動方程式を発見できるかもしれず、例えば、生態系の持続可能性の検討に物理学の知見や物理シミュレーションが応用できる可能性があります。
この研究成果は、2021年12月6日から開催されている人工知能技術に関するトップ会議「Thirty-fifth Conference on Neural Information Processing Systems(NeurIPS2021)」で、12月9日に発表される予定です。本研究は、採択率が約3パーセントであるSpotlight枠で採択されました。
本研究は、以下の支援を受けて行われました。
・科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)
研究領域
「数学・数理科学と情報科学の連携・融合による情報活用基盤の創出と社会課題解決に向けた展開」(研究総括:上田 修功)
研究< span=”” style=”box-sizing: border-box;”>題名</SPAN課<>
「幾何学的離散力学を核とする構造保存的システムモデリング・シミュレーション基盤」(JPMJCR1914)(研究代表者:谷口 隆晴)
<論文タイトル>
- “Neural Symplectic Form: Learning Hamiltonian Equations on General Coordinate Systems”
<お問い合わせ先>
<研究に関すること>
谷口 隆晴(ヤグチ タカハル)
神戸大学 大学院システム情報学研究科 計算科学専攻 准教授
松原 崇(マツバラ タカシ)
大阪大学 大学院基礎工学研究科 システム創成専攻 准教授
<JST事業に関すること>
舘澤 博子(タテサワ ヒロコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ICTグループ
<報道担当>
神戸大学 総務部 広報課
大阪大学 基礎工学研究科 庶務係
科学技術振興機構 広報課