大気汚染は気候変動による悪影響を増幅させる(Air Pollution Can Amplify Negative Effects of Climate Change)

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2022-09-23 テキサス大学オースチン校(UT Austin)

大気汚染が人間の健康、経済、農業に及ぼす影響は、汚染物質が排出される地球上の場所によって大きく異なることが、新しい研究で明らかになった。
この研究は、汚染物質が世界中の場所の気候と大気質の両方にどのような影響を与えるかをシミュレートした初めてのものである。
CO2とエアロゾル(工業工場、発電所、自動車のテールパイプから排出され、スモッグの原因となる小さな固体粒子や液滴)は、燃料の燃焼時に同時に排出されることが多いが、この2つの物質は地球の大気中で異なる挙動を示す。
CO2は、誰が排出しても、気候に同じ影響を与える。しかし、エアロゾル汚染物質は、排出された場所の近くに集中する傾向がある。したがって、それらが気候系に及ぼす影響は、非常に不均一で、それらがどこから来るのかに依存する。
研究者達は、エアロゾルが排出される場所によって、温室効果ガスが社会に与える経済的コストである炭素の社会的コストを66%も悪化させることを発見した。
科学者たちは、ブラジル、中国、東アフリカ、西ヨーロッパ、インド、インドネシア、米国、南アフリカの8つの主要な地域を調査した。
研究チームは、CO2と比較してエアロゾルの影響を調べるために、国立大気研究センターが開発したコミュニティ地球システムモデル バージョン1を使って、一連の気候シミュレーションを行った。8つの地域が同じエアロゾルを排出するシミュレーションを行い、地球全体の気温、降水量、地表の大気質がどのように変化したかを地図上に示した。そして、このデータを、8つの地域の気候や大気質と、乳幼児死亡率、農作物の生産性、国内総生産との間にある既知の関係と結びつけた。最後に、これらのエアロゾルによる影響の社会的コストの合計を、8つの地域のそれぞれで排出されるCO2の社会的コストと比較した。
その結果、ある地域からの排出は、他の地域よりも2倍から10倍以上強い気候や大気質の影響をもたらし、社会的コストは、エアロゾルを排出した地域よりも近隣の地域に影響を与えることがある。例えば、ヨーロッパでは、地域ごとの排出ガスが、ヨーロッパ以外の地域の乳幼児死亡数の4倍を引き起こしている。

<関連情報>

人為的な排出の社会的コストを地理的に分解し、直接効果と気候変動による影響の両方を考慮したもの Geographically resolved social cost of anthropogenic emissions accounting for both direct and climate-mediated effects

Jennifer Burney,Geeta Persad,Jonathan Proctor,Eran Bendavid,Marshall Burke,Sam Heft-Neal
Science Advances  Published:23 Sep 2022
DOI: 10.1126/sciadv.abn7307

大気汚染は気候変動による悪影響を増幅させる(Air Pollution Can Amplify Negative Effects of Climate Change)

Abstract

The magnitude and distribution of physical and societal impacts from long-lived greenhouse gases are insensitive to the emission source location; the same is not true for major coemitted short-lived pollutants such as aerosols. Here, we combine novel global climate model simulations with established response functions to show that a given aerosol emission from different regions produces divergent air quality and climate changes and associated human system impacts, both locally and globally. The marginal global damages to infant mortality, crop productivity, and economic growth from aerosol emissions and their climate effects differ by more than an order of magnitude depending on source region, with certain regions creating global external climate changes and impacts much larger than those felt locally. The complex distributions of aerosol-driven societal impacts emerge from geographically distinct and region-specific aerosol-climate interactions, estimation of which is enabled by the full Earth System Modeling Framework used here.

1904環境影響評価
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