2022-09-13 京都大学
有松亘 白眉センター特定助教を中心とする研究グループは、2021年10月15日22時14分(日本時間)に、木星への小天体の衝突、すなわち木星大気圏突入による巨大閃光現象、『火球』を発見しました。こうした衝突閃光はこれまで専用の観測装置による詳細な観測がなされたことがなく、閃光現象を『狙った』観測によって木星での衝突閃光の発見に成功したのは史上初めてです。
今回、京都大学吉田キャンパス施設屋上に設置した小型観測システム『PONCOTS(ポンコツ)』を使用し、史上最も詳細な衝突閃光の動画観測データの取得に成功しました。この動画データから、閃光を司る衝突によって放出されたエネルギーが過去に地上から観測された木星閃光現象と比較しても10倍程度大きく、1908年に地球で発生した、『ツングースカ大爆発』とよばれる小天体爆発のエネルギーに匹敵することが判明しました。今回の発見は、木星に衝突していると推定される太陽系外縁部の小天体が豊富に存在することを示唆し、さらに地球のような大気を持った天体への小天体衝突の際のリスクについて新たな知見を与えるものです。
本研究成果は、2022年9月13日から新潟大学で開催される日本天文学会秋季年会で発表されます。また本研究成果については、2022年6月28日に、国際学術誌「The Astrophysical Journal Letters」にオンライン掲載されました。
京大屋上の望遠鏡PONCOTSによって撮影された、2021年10月15日の木星閃光(中央やや右上の輝点)
Credit:有松亘(京都大学)
研究者のコメント
「PONCOTSプロジェクトはコロナ禍で気軽に観測遠征ができない時に思いついたものです。高尚で気品のあるプロジェクト名をつけたところで、実際は中学生の時に望遠鏡とデジカメを使って木星を観測していたころと代わり映えがしないことをやっていました。結果として今回の発見につながりました。『バカなアイデアも上手くいけばすばらしいアイデアになる』とはよくいったものですが、20年前からやっていることに進歩のない自分にはうんざりしますね。」(有松亘)
研究者情報
研究者名:有松 亘
メディア掲載情報
京都新聞(9月13日 29面)に掲載されました。