複雑な分子合成の困難さを数式で表現

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2022-05-15 京都大学

複雑な構造をつくるのは難しい一方で、破壊するのは簡単です。これは誰もが知っている事実かもしれません。しかし、この事実を自然現象に対する法則として表現できるでしょうか。

小林郁海 理学研究科修士課程学生と佐々真一 同教授は本研究において、ある単純な設定において、分子の合成にかかる時間についての新しい不等式を発見しました。この不等式によって、分子の合成速度には、材料の濃度をどれだけうまくコントロールしたとしても超えることのできない基本的な限界があることが分かります。そして、複雑な分子の合成は破壊に比べて圧倒的に時間がかかることも示されました。今後はこの研究成果を出発点として、より一般的な物質合成の難しさを計算できる新しい理論へと発展させていくことが期待されます。

本研究成果は、2022年6月14日に、国際学術誌「Physical Review Letters」にオンライン掲載されました。

複雑な分子合成の困難さを数式で表現
本研究で考察した分子合成のイメージ図。2種類の材料分子をつなげて、1次元の鎖をつくる。

研究者のコメント

「大学で物理学を専攻し、現代の物理学のめざましい発展に感動しました。しかしそれと同時に、日常生活のなかで感じる素朴な疑問のなかにも、学問的にほとんど理解されていないものが山ほどあることを痛感しました。そういった、一見素朴だけど理解の進んでいない問題に真摯に取り組んでいくことで、科学の全体的な発展に貢献できたら嬉しいです。」(小林郁海)

「生きている状態と死んでいる状態の非対称性を化学反応ダイナミクスの立場から研究したいと思ってきましたが、これまで研究の端緒を開くことができませんでした。今回の研究で、その大きな目標に向かって重要な一歩を踏み出せたように思います。今後の展開が楽しみです。」(佐々真一)

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:佐々 真一

1700応用理学一般
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