多種分子群を識別する小型・低消費電力センサーの実現に期待
2022-01-24 東京大学,慶應義塾大学,科学技術振興機構
ポイント
- 1024個の堅牢な金属酸化物ナノ薄膜分子センサーを1チップに集積化したセンサーアレイを開発し、揮発性分子の空間濃度分布の可視化に成功した。
- 導電性金属酸化物電極を持つ横型ナノ薄膜チャネル構造とアナログフロントエンド回路技術により、長期間安定かつ高密度集積が可能なセンサーアレイ・システムを実現した。
- 分子センサーチャネルの界面化学物性制御技術を融合することで、多種類の分子群の識別・分類の実現が期待される。
東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻の大学院生 本田 陽翔、高橋 綱己 特任准教授、柳田 剛 教授、慶應義塾大学 大学院理工学研究科 総合デザイン工学専攻の大学院生 椎木 陽介、同大学 理工学部 電気情報工学科の石黒 仁揮 教授らの研究グループは、1024個の堅牢な金属酸化物ナノ薄膜分子センサーを1平方センチメートル以下の面積に集積化したセンサーアレイチップを開発し、1平方センチメートル以下の領域における空気中の分子の濃度分布を可視化することに成功しました。
従来技術では難しかった、長期間安定的に動作する分子センサーの高密度集積化を導電性金属酸化物電極材料設計、横型ナノ薄膜チャネル構造、およびアナログフロントエンド回路技術によって実現しました。
本センサーアレイと分子センサーチャネルの界面化学物性制御技術を融合することで、多種類の分子からなる分子群の分類ができるセンサーの実現が期待されます。
本研究成果は、2022年1月23日(米国東部標準時)に米国科学誌「ACS Sensors」のオンライン版に掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構「さきがけ(課題番号:JPMJPR19M6)」、「CREST(課題番号:JPMJCR19I2)」、科研費「基盤研究(S)(課題番号:JP18H05243)」、「基盤研究(B)(課題番号:JP20H02208)」の支援により実施されました。
<論文タイトル>
- “Impact of Lateral SnO2 Nanofilm Channel Geometry on a 1024 Crossbar Chemical Sensor Array”
- DOI:10.1021/acssensors.1c02173
<お問い合わせ先>
<研究に関すること>
高橋 綱己(タカハシ ツナキ)
東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻 特任准教授
柳田 剛(ヤナギダ タケシ)
東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻 教授
<JST事業に関すること>
舘澤 博子(タテサワ ヒロコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ICTグループ
嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ
<報道担当>
東京大学 大学院工学系研究科 広報室
慶應義塾 広報室
科学技術振興機構 広報課