ドーピングのスマートな利用方法:埋め込み原子特有の電子 ID でデバイスの真偽を判別

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(A Smart Use for Doping: Implanted Atoms Create Unique Electrical IDs That Distinguish Bona Fide Devices From Forgeries)

2021-09-16 アメリカ合衆国・国立標準技術研究所(NIST)

・ NIST が、コンピューターチップや電子デバイスの偽造品の市場への侵入を防止する、工場出荷前製品の電子認証技術を開発。
・ 通信ネットワーク障害の原因となる偽造や改ざんの防止には、IoT を構成する相互接続ワイヤレス技術、デジタル電子機器や微小電子機械システムのセキュリティー対策が不可欠。リサーチ・アンド・マーケッツ社は、2017 年の世界の偽造品の売上額は 1.2 兆ドルと推定している。
・ 新技術では、ドーピング手法を活用して安価で変更不可能な電子 ID を作製する。ドーピングによるデバイスの電子タグ作製は新しいアイデアではないが、新技術では原子の埋め込みに原子間力顕微鏡(AFM)プローブの鋭利な先端部を使用するため、レーザーやイオンビームによる他のドーピング技術に比べてより簡易、低コストで使用機器やダメージが少ない。
・ ドーパントとしてアルミニウム原子の 1nm 薄膜を 10cm 四方のシリコンウェハーに積層して切手サイズの小片に縮小し、AFM プローブの針状の先端でアルミニウム原子をシリコン小片の数 nm 下に埋め込む(埋め込み面積は約 200nm)。
・ 埋め込んだ原子はウェハー表面直下のシリコン原子の配列を変え、これらのシリコン原子とウェハー中の他のシリコン原子が格子構造を形成する。各シリコン格子は、特定のインピーダンスを持つ電子回路のように働く。
・ 埋め込んだアルミニウム原子を約 600℃で急速に加熱すると、原子数個がウェハー表面直下の格子のシリコンと入れ替わり、格子のインピーダンスを変更する。その結果、これらの格子がドーパント原子の種類と量によりそれぞれ独自のインピーダンスを保有し、これが個別の電子ラベルとして機能する。
・ このようにラベリングしたデバイスにスキャナーの電波を照射すると、各格子がそれぞれのインピーダンスに応じた無線周波数を放出して応答する。スキャナーに対して同様の応答ができない偽造デバイスを容易に識別する。
・ 新技術は過去開発のドーパント原子を埋め込む AFM 技術を改善して原子配置の精度を向上させたプロトタイプだが、量産にはさらなる改善が必要。複数の AFM プローブの同時利用や、高圧ローラーによるドーパント原子の急速埋め込みが考えられる。また、ローラーに埋め込みパターンをステンシル処理すれば、所定の場所への確実なドーパントの配置が可能となる。
URL: https://www.nist.gov/news-events/news/2021/09/smart-use-doping-implanted-atoms-create-unique-electrical-ids-distinguish

<NEDO海外技術情報より>

(関連情報)

International Conference on IC Design and Technology(ICICDT) 2021 発表論文(フルテキスト)
Deterministic Tagging Technology for Device Authentication
URL: https://tsapps.nist.gov/publication/get_pdf.cfm?pub_id=932554

Abstract

This paper discusses the development of a rapid, large-scale integration of deterministic dopant placement technique for encoding information in physical structures at the nanoscale. The doped structures bestow a customizable radiofrequency (RF) electronic signature, which could be leveraged into a distinctive identification tag. This will allow any manufactured item (integrated circuit, pharmaceutical, etc.) to be uniquely authenticatable. Applications of this technology include enabling a secure Internet of Things (IoT) and eliminating counterfeit products.

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