有機電子型強誘電体のナノ分極を瞬時に増強 ~ペタヘルツ応答への可能性を開拓~

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2021-08-19 東北大学,科学技術振興機構,岡山理科大学

有機電子型強誘電体のナノ分極を瞬時に増強 ~ペタヘルツ応答への可能性を開拓~

ポイント
  • 赤外光を照射した瞬間(10兆分の1秒程度)に、ナノ分極(ナノサイズの微小な分極領域)が増強することを発見した。
  • この発見は、テラヘルツ分光技術を駆使したナノ分極の検出法を発見したことにより可能になった。
  • さらなる超高周波(ペタヘルツ)(5G周波数より10万倍以上も高速)の電気デバイスの動作原理となる可能性が期待できる。

高速通信の需要が高まる中、現在のギガ(10億)ヘルツ駆動エレクトロニクスをはるかに超えるペタ(1000兆)ヘルツの電子操作技術の開拓が期待されています。そのような超高周波の電子応答を可能にする量子物質(電子の量子多体効果によって電気伝導性や磁気的性質が決まる物質)の研究が世界中で進む中、電子型強誘電体は、誘電体メモリーの材料として注目されています。東北大学 大学院理学研究科の岩井 伸一郎 教授、伊藤 弘毅 助教らのグループは、有機電子型強誘電体において、物質中のナノ分極がフェムト秒光パルスによって増強する現象を発見しました。この現象は、原理的には、ペタヘルツ応答にも追随でき、今後、アト秒スケール(5G周波数より10万倍以上も高速)の電子操作に応用することも期待できます。

この成果は米国科学雑誌「Physical Review Research(Letter)」に2021年8月13日にオンライン掲載されました。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST「キャリアエンベロープ位相制御による対称性の破れと光機能発現」(研究代表者 岩井 伸一郎 JPMJCR1901)、および文部科学省 光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP) 基礎基盤研究 「強相関量子物質におけるアト秒光機能の開拓」(研究代表者 岩井 伸一郎 JPMXS0118067426)、および文部科学省 科学研究費補助金・新学術領域「量子液晶の物性科学」 公募研究「強相関π電子がつくる電荷秩序・強誘電ドメインの形成機構解明と光機能探索」(研究代表者 伊藤 弘毅 20H05147)の助成を受けて行われました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Charge correlations and their photoinduced dynamics in charge-ordered organic ferroelectrics
DOI:10.1103/PhysRevResearch.3.L032043
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
岩井 伸一郎(イワイ シンイチロウ)
東北大学 大学院理学研究科 物理学専攻 教授

山本 薫(ヤマモト カオル)
岡山理科大学 理学部 応用物理学科 准教授

<JST事業に関すること>
嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

<報道担当>
東北大学 大学院理学研究科 広報・アウトリーチ支援室
佐和 由紀(サワ ユキ)

科学技術振興機構 広報課

岡山理科大学 入試広報部
森内 恒治(モリウチ コウジ)

0404情報通信
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