2021-07-26 京都大学
電力パケットとは、電力を伝送するペイロードと宛先等を含む情報タグから構成される電力の単位です。本研究では、電力パケットを物理的に実現し、蓄積・転送する技術を開発してきました。
今回、引原隆士 工学研究科教授、持山志宇 同助教、稲垣翔太 同修士課程学生(研究当時)らの研究グループは、電力パケットによりデジタル化・量子化された電力を、ネットワーク上で論理演算処理でき、伝送の要求に対する伝送量の未充足分を、誤り訂正として処理できるアルゴリズムとハードウェアを発表しました。電力をパケット化して目的の負荷まで伝送する際に、開発した回路はネットワークノードであるルータ内で、電力を論理演算処理します。このとき実行する演算は、電力パケットのタグの情報によって書き換えが可能です。また、負荷に電力を供給するノードにおいて負荷の電力要求を充足する電力パケットが足りない場合に、要求電力と受電電力の差を誤り訂正としてネットワーク内で最適に補償するプロセッシングを実現します。今後は電力パケット伝送系の実証フェーズに入ります。
本研究成果は、2021年7月22日に、国際学術誌「Royal Society Open Science」に掲載されました。
図:(左)電力パケット伝送システムの概念図、(右)電力パケットによる電力の論理演算の例 (NAND)
研究者情報
研究者名:引原隆士
研究者名:持山志宇