原子空孔の配列を制御する新手法の発見

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2020-11-24 京都大学,東京工業大学,東京大学大学院理学系研究科,筑波大学,大阪大学,高エネルギー加速器研究機構,J-PARCセンター,科学技術振興機構

原子空孔の配列を制御する新手法の発見

ポイント
  • 酸化物合成において応力を与えることで原子空孔面の方向や周期の制御に成功。
  • エネルギーランドスケープに立脚した酸化物の合理的設計への道を拓く。
  • 今後、電気・光変換機能や高い転移温度を持つ超伝導など、革新的機能材料の開発が期待される。

京都大学 アイセムス 陰山 洋 連携主任研究者(兼 工学研究科 教授)、同 工学研究科 高津 浩 特定講師、同 理学研究科 北川 俊作 助教、同 石田 憲二 教授、東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 山本 隆文 准教授(元 京都大学 助教)、同 理学院 八島 正知 教授、東京大学 大学院理学系研究科 長谷川 哲也 教授、筑波大学 数理物質系 関場 大一郎 講師、大阪大学 大学院理学研究科 越智 正之 助教、同 黒木 和彦 教授、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 大友 季哉 教授らの研究グループは、物質・材料研究機構、自然科学研究機構 分子科学研究所、米国 ミシガン大学、同 国立標準技術研究所との共同研究によって、無機結晶の原子空孔の配列パターンを応力によって制御することに成功しました。

原子空孔は、超伝導やイオン伝導などさまざまな機能に本質的な影響を与えることは知られていましたが、今までは配列パターンを自在制御した例はありませんでした。本研究では、バナジウム酸化物の薄膜試料に対し、基板から応力を与えながら低温トポケミカル反応を起こすことで、酸素の空孔面が形成する方向やその周期を変化させられることを世界に先駆けて発見しました。

酸素空孔の配列パターンは、超伝導や磁性、イオン伝導などの諸物性に大きな影響を与えることが知られています。このため、酸素空孔の配列パターンを自在に制御するための指針を提示した本研究は、設計は不可能と考えられていた無機物質合成の状況を一変させるだけでなく、オンデマンド型の機能開発を可能にするものです。

今後、本手法を利用することで新しいタイプの電気・光変換機能や高い転移温度を持った超伝導など、革新的機能材料の開発が期待されます。

本研究成果は、国際オンライン科学誌「Nature Communications」で2020年11月23日(英国時間)に公開されました。

本研究は、文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域研究「複合アニオン化合物の創製と新機能」、JST 戦略的創造研究推進事業 CREST「アニオン超空間を活かした無機化合物の創製と機能開拓」の一環として行われました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Strain-induced creation and switching of anion vacancy layers in perovskite oxynitrides”
(応力を用いたペロブスカイト酸窒化物のアニオン欠損層の生成と制御)
DOI:10.1038/s41467-020-19217-7
<お問い合わせ先>
<研究に関すること>

陰山 洋(カゲヤマ ヒロシ)
京都大学 高等研究院 物質-細胞統合システム拠点(アイセムス) 連携主任研究者(兼 工学研究科 教授)

越智 正之(オチ マサユキ)
大阪大学 大学院理学研究科 物理学専攻 助教

<JSTの事業に関すること>

嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

<報道担当>

京都大学 高等研究院 物質-細胞統合システム拠点(アイセムス) パブリックエンゲージメントユニット(遠山、髙宮)
東京工業大学 総務部 広報課
東京大学 大学院理学系研究科・理学部 広報室
筑波大学 広報室
大阪大学 理学研究科 庶務係
高エネルギー加速器研究機構 広報室
J-PARCセンター 広報セクション リーダー 阿部 美奈子
科学技術振興機構 広報課

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