水素を用いた省エネルギーCO2回収技術を開発

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火力発電所などの排ガスを混合ガス化、直接燃料・化成品原料に

2020-06-03 科学技術振興機構,名古屋大学

ポイント
  • 地球温暖化対策のため、大気中の二酸化炭素(CO)濃度の低減が求められており、CO集中排出源からの消費エネルギーが少ないCO回収技術の開発が望まれていた。
  • 燃焼排ガスからのCO回収に一般的に用いられるアミン吸収法において、再生塔へHを供給することによりCOを効率よく分離する「Hストリッピング再生技術」を開発し、再生塔温度の大幅な低温化に成功した。
  • さらに、本グループで開発した「相分離型吸収剤」を併用することにより、従来比4分の1という世界最高水準の省エネルギー化を実現した。
  • 再生可能エネルギー由来のHを用いることにより、燃焼排ガス中のCOを多様な炭素化合物に再利用する技術開発の加速とカーボンリサイクルへ貢献が期待される。

JST 戦略的創造研究推進事業 先端的低炭素化技術開発(ALCA)において、名古屋大学の町田 洋 助教らは、温室効果ガスの1種である二酸化炭素(CO)を火力発電所の排ガスなどから回収し、利用するために必要なエネルギーを大幅に削減できる技術を開発しました。

従来COの回収には100度を超える温熱や多量のエネルギー(3~4GJ(ギガジュール)/ton-CO)が必要であり、省エネ技術の開発が望まれていました。本研究グループは、これまでになかったCO回収技術として、再生塔に水素(H)ガスを供給するHストリッピング再生技術を開発しました。これにより、従来よりも低い温度(85度)で燃焼排ガスをCO/Hガスに置換できることを明らかにしました。排熱の利用促進や反応熱回収などと組み合わせることでさらなるエネルギー低減が可能です。さらに、本研究グループで開発された相分離型吸収剤と組み合わせることにより、再生塔温度60度、分離回収エネルギー1GJ/ton-CO未満という世界最高水準の省エネルギー効果が得られました。

本技術は、燃焼排ガス中のCOと再生可能エネルギー由来のHからメタンやメタノール、ガソリンなどを合成する技術に役立つことが期待され、カーボンリサイクルへの貢献が見込まれます。

本研究成果は、2020年6月2日(米国東部夏時間)に米国化学会誌「ACS Sustainable Chemistry & Engineering」のオンライン版で公開されました。

本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。

戦略的創造研究推進事業 先端的低炭素化技術開発(ALCA)

研究領域:「炭素循環化学システムの高効率化」
(運営総括:辰巳 敬 製品評価技術基盤機構 理事長)

研究開発課題名:「相分離型省エネルギーCO2吸収剤の開発」

研究開発代表者:町田 洋(名古屋大学 大学院工学研究科 助教)

研究開発期間:平成27年10月~令和4年3月

JSTは本事業において、温室効果ガスの排出削減を中長期にわたって継続的かつ着実に進めていくために、ブレークスルーの実現や既存の概念を大転換するような『ゲームチェンジング・テクノロジー』の創出を目指し、新たな科学的・技術的知見に基づいて温室効果ガス削減に大きな可能性を有する技術を創出するための研究開発を実施しています。

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