イエロー・イズ・ニュー・ブラウン (Yellow is the new brown)

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2020/3/11  スイス連邦材料試験研究所(EMPA)

Abstract Image

・ EMPA と ETH Zurich が、果物の成熟を促進するエチレンを水と CO2 に分解する、環境に優しく再生可能な材料を使用した触媒を新たに開発。
・ 黄色いバナナの熟成を促進して茶色に変色させる植物ホルモンのエチレンは、果物内部の情報伝達物質として機能するだけでなく、その近隣にある植物や果物によるエチレンの生成を活性化させて連鎖反応を引き起こし、成熟速度を加速させる。特に高レベルのエチレンを放出するリンゴと共に保管した場合、貯蔵寿命がより速く短縮するため、家庭の冷蔵庫やサプライチェーンでの食品ロスが懸念される。
・ 新触媒では、極めて多孔質で大きな表面積を有するセルロースを触媒担体として利用。樹体を構成するその他の成分のリグニンと一部のミセルロースを酸性溶液で取り除き、残ったセルロースを 2 種類の溶液を使用して、まず白金粒子をセルロースの細胞壁に張り付かせ、次にセルロース構造に白金粒子を取り込む。
・ 20nm の白金ナノ粒子が多孔質で階層構造を有する担体で均一・効率的に極少量で分散し、適切な触媒効果を発揮。また、セルロース構造の表面に触媒を固定することで、白金のナノ・マイクロ粒子による食品汚染の可能性を回避する。
・ エチレンがこの多孔質な構造中を移動する際に、構造表面に結合した白金粒子に繰り返し「衝突」し、水と CO2 に分解される。同触媒の試験では、エチレンがすべて室温下で分解されたことを確認。ただし、0℃下では水が蒸発できず触媒に張り付き、化学反応が停止。この水分を取り除いて化学反応を再開させるには、触媒全体を 2 時間毎に数分間温める必要がある。
・ 触媒反応でエチレンを分解して果物の貯蔵寿命を延ばすコンセプトは新しいものではない。日立が 2015 年より、シリカを担体とする白金触媒を搭載した冷蔵庫を製造している。新触媒は、木質ベースの担体の採用と白金触媒のより効率的な利用により、既存のコンセプトを向上させたもの。
・ 次には、産業レベルへのスケールアップを目指す。より大きな量産型のプロトタイプ触媒を冷蔵庫や冷凍倉庫に設置することで、野菜や果物の成熟速度を遅らせ、鮮度をより長く維持できる。また、このような触媒では、冷蔵庫とほぼ同等の寿命が見込める。
URL: https://www.empa.ch/web/s604/fresh-fruit

(関連情報)
ACS Nano 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Hierarchical Porous Wood Cellulose Scaffold with Atomically Dispersed Pt Catalysts for LowTemperature Ethylene Decomposition
URL: https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsnano.9b07801

<NEDO海外技術情報より>

Abstract

Despite the excellent catalytic properties of individual nanoparticles and atomic clusters, the current capabilities to assemble them into a complex system are insufficient for many practical applications. An objective of this work is to develop a fabrication technology that allows for the simultaneous control of the nanoparticle surface chemistry, elemental distribution, microscale geometry, and large-scale assembly. Using a cellulose structure derived from wood, we fabricate hierarchical porous cellulose scaffolds combining with cerium-doped TiO2. This hybrid material serves as the support for atomically dispersed Pt catalysts and is used to successfully decompose ethylene at 0 °C. The fabrication concept developed in this work would allow mitigating the conflict between the required large active surfaces and the difficulties in handling nanopowders in environmental catalysis, including food preservation and indoor air purification. We thus discover a promising route to manufacture multifunctional materials with complex structures by combining a controllable chemical synthesis with the nature-designed wood scaffold.

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