日本初の確率論的津波ハザード情報を提供津波ハザードステーション (J-THIS)の運用開始

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2020-02-21    防災科学技術研究所

国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長: 林春男)は、地震調査研究推進本部地震 調査委員会が公表した「南海トラフ沿いで発生する大地震の確率論的津波評価」(以下、 「津波評価」)をウェブ上で詳しく閲覧できるシステムとして、日本初の確率論的津波ハ ザード情報を提供するシステム「津波ハザードステーション(J-THIS)」の運用を開始しま した(URL: http://www.j-this.bosai.go.jp/)。

このシステムでは、南海トラフ沿いで発生する大地震に伴う津波について、南海トラフ 海域に面する海岸(50mメッシュ)に設定した地点で今後30年以内に一定高さ以上の津波 が来襲する確率を背景地図と重ねて表示することや、各地点における津波の高さとその超 過確率の関係(ハザードカーブ)を閲覧することができます。また、より専門的なデータの 利活用を可能とするため、津波評価に用いた波源断層モデルごとに計算された津波の高さ を背景地図と重ねて表示することや、海底地形図を重ねて表示することができます。今後、

南海トラフ沿いで発生する多様な地震に対する津波防災対策への活用が期待されます。

1.内容:別紙資料による。

2.本件配布先:文部科学記者会、科学記者会、筑波研究学園都市記者会、気象庁記者クラブ

3.URL:http://www.j-this.bosai.go.jp/

別紙資料

日本初の確率論的津波ハザード情報を提供津波ハザードステーション

(J-THIS、呼称:ジェイディス)の運用開始

◇ポイント◇

・日本初の確率論的津波ハザード情報を提供するシステム「津波ハザードステーション(J-

THIS、呼称:ジェイディス)」を開発した。

・南海トラフ海域に面する海岸(50m メッシュ)に設定した地点で今後 30 年以内に一定高さ以上の津波が来襲する確率を背景地図と重ねて表示できる。

・各地点における津波の高さとその超過確率の関係(ハザードカーブ)が閲覧できる。

・波源断層モデルごとに計算された津波の高さを背景地図と重ねて表示できる。

・4種類のメッシュサイズの海底地形図を背景地図と重ねて表示できる。

1.はじめに

国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下、「防災科研」)(理事長: 林春男) は、地震調査研究推進本部地震調査委員会が公表した「南海トラフ沿いで発生する大地震の確率論的津波評価」(以下、津波評価と省略)をウェブ上で詳しく閲覧できるシステムとして、日本初の確率論的津波ハザード情報*1の提供システム「津波ハザードステーション(J-THIS*2)」の運用を開始しました(URL: http://www.j-this.bosai.go.jp/)。このシステムでは、南海トラフ沿いで発生する大地震に伴う津波について、南海トラフ海域に面する海岸(50mメッシュ)に設定した地点で今後30年以内に一定高さ以上の津波が来襲する確率(南海トラフ沿いで大地震が起きたと限定した場合の超過確率*3;以下、「南海トラフ地震に対する超過確率」)を背景地図と重ねて表示することや、各地点における津波の高さ(最大水位上昇量*4)と南海トラフ地震に対する超過確率の関係(ハザードカーブ*5)を閲覧することができます。また、より専門的なデータの利活用を可能とするため、津波評価に用いた波源断層モデル*6ごとに計算された最大水位上昇量を背景地図と重ねて表示することや、4 種類のメッシュサイズの海底地形図を重ねて表示することができます。

2.背景

地震調査研究推進本部地震調査委員会においては、地方公共団体等による避難計画や施設整備等の津波防災対策の検討に資することを目的として、2013年2月に津波評価部会を設置し、津波の予測や評価のための手法や、その手法に基づく津波評価を中心に検討を進めています。防災科研では、これらの評価によって得られる津波ハザード情報が減災に資する情報として利活用されることを目的として、専門家による「津波ハザード情報の利活用に関する委員会」(2013年-2016年)を立ち上げ、津波ハザード情報を利活用する側の立場におけるニーズ、それを満たすために提供されるべき情報の内容、具体的な利活用の可能性について検討してきました。本委員会が取りまとめた提言の中で、津波リスク評価等を実施する専門家等に対して、多様な津波ハザード情報を利活用できる公開システムの必要性が謳われています。以上を踏まえ、津波防災に資することを目的として、多様な津波ハザード情報を利活用

できることを目指して津波ハザードステーション(J-THIS)の開発を開始しました。

3.津波ハザードステーション(J-THIS)の表示例

(1)南海トラフ地震に対する30年超過確率分布図の表示例

 

図1 南海トラフ沿いで発生する大地震によって、今後30年以内に5m以上の津波が海岸に来襲する確率を示した超過確率分布図。3m以上の津波が来襲する確率、5m以上の津波が来襲する確率、および 10m 以上の津波が来襲する確率を選択し、地理院地図に重ねて表示することができる。この地図を見ることで、南海トラフに面した太平洋沿岸地域のどこの海岸が他

に比べて相対的に津波に襲われる可能性が高いか低いかを知ることができる。

 

図2 図1で示された地図を拡大し、地理院地図に重ねて表示することができる(図は高知県高知市桂浜付近)。50mメッシュごとに南海トラフ地震に対する超過確率が表示される。(2)ハザードカーブの表示例

 

図3 50mメッシュごとに、来襲する津波高さ(最大水位上昇量)と南海トラフ地震に対する超過確率の関係(ハザードカーブ)を表示することができる(図は高知県高知市桂浜付近のハザードカーブ)。また、グラフ上にマウスカーソルを合わせると、その最大水位上昇量(図

では5m)に対応した、南海トラフ地震に対する超過確率を表示することができる。

(3)波源断層モデルの表示例

 

図4 津波評価で設定した波源断層モデルについて、震源域の位置などを指定すると、その断層パラメータを閲覧できる。また、指定した波源断層モデル図と、その波源断層モデルを用いて計算された海岸に来襲する津波高さ(最大水位上昇量)を地理院地図に重ねて表示することができる。

(4)最大水位上昇量の表示例

 

図5 波源断層モデルを指定すると、南海トラフ海域に面する海岸(50mメッシュ)に設定した地点で計算された最大水位上昇量を地理院地図に重ねて表示することができる(図は高知県高知市桂浜付近)。

(5)海底地形図の表示例

 

図6 津波の計算に用いた海底地形図を地理院地図に重ねて表示することができる(図は 1350m メッシュの海底地形図)。また、海底地形図を南海トラフ地震に対する 30 年超過確率分布図や最大水位上昇量分布図に重ねて表示することも可能であり、海岸に来襲する津波高さ(最大水位上昇量)と海岸付近における海底地形の特徴を比較することができる。【補足説明資料】

*1 確率論的津波ハザード情報:

本システムでは、南海トラフ沿いで発生し、津波の原因となる様々な地震について、長期的な地震発生の確率とその地震によって発生する津波の高さを推定することで、津波に見舞われる可能性を海岸沿いの地点ごとに定量的に評価した情報を提供します。

*2 J-THIS(ジェイディス):

Japan Tsunami Hazard Information Station、訳:津波ハザードステーション。

*3 超過確率:

ある地点で、一定の期間内(例えば 30年)に、来襲する津波の高さがある値を超える確率。本システムでは、今後30年以内に3m以上の津波が来襲する確率、5m以上の津波が来襲する確率、および10m以上の津波が来襲する確率を表示することができます。

*4 最大水位上昇量:

東京湾平均海面(T.P.)を基準面とし測定した最大水位から地震発生によるその地点での地盤変動量を差し引いた相対的な水位の上昇量。

*5 ハザードカーブ:

ある地点に来襲する津波の高さ(最大水位上昇量)とその超過確率の関係を曲線(グラフ)

で表すことができます。この曲線のことを「ハザードカーブ」といいます。

*6 波源断層モデル:

断層面の位置・形状が与えられ、断層すべりの不均質性が指定されたモデルを、「波源断層モデル」といいます。

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